![]() | 夜と霧 新版 ヴィクトール・E・フランクル 池田 香代子 みすず書房 2002-11-06 by G-Tools |
「心理学者、強制収容所を体験する」。
これは事実の報告ではない。体験記だ。ここに語られるのは、何百万人が何百万通りに味わった経験、生身の体験者の立場にたって「内側から見た」強制収容所である。
***『夜と霧』V.E.フランクル(みすず書房)
「自分は何を語ることができるのだろう?」とは常に思う。感情だけの感想文なら書けるだろう。でも、ちょっとでも他人に何かを伝えようと、できるだけ論理的な「批評じみたもの」を書こうとすると、おい、ちょっと待て、となる。おまえは何かを批評できるほど偉い人間なのか? と。
ある一文を抜き出して「強制収容所はこんなに過酷です」という手段もあるだろうけれど、それはちょっと恐れ多い気がする。この本は長くはないので抜粋を読むのなら全部読んで欲しいと思う。
一般的な落としどころにもっていく、という手もあるだろう。つまり、当り障りのないことを書く、ということ。「すごいショックを受けました。二度と戦争が起こることのないよう、平和な未来を築きたいです」とかなんとか。当然こういうことも思うけれども、本当にまっさきに心に浮かんだのはこんな一般論じゃないし、こんな一般論は2秒で忘れる。
ちなみに純粋にまっさきに心に浮かんだのは「うーーん」だ(なんだそりゃ)。言葉にしようとするのだけれど、もやもやが収まらなくて、「うーーむ」だ。それと「死ぬ前に何度か読み返したいな、もし癌か何かになって、余命が分かったら、その時にも読み返したいな」と思いました。
で、僕が言いたいのは、こんなふうに「何かを語る前の段階で思い悩む」という本なんだこの『夜と霧』は、ということ。
「死にたいなー」とか「生きてても希望がもてないなー」と日々思っている人はこれを読んでから最終的な判断をなさるのも良いかもしれません。「おまえらに俺の苦しみの何がわかるっ!」という憤りを吸収し、さらにもう一歩、考えを深めてくれる何かが『夜と霧』にはあると思います。
死の直前に寄り添えるのは、同じように死の直前を経験した者だけなのかもしれない。
***
ってあまりにも真正直に書くと読む気が失せる人もいるだろうから(僕はできるだけ多くの人に『夜と霧』を読んで欲しい)、「胃袋オナニー」とかいう、笑えないんだけれどやっぱり笑えないユーモアがところどころにあるので、読んでて辛い、ということはありませんでした。ただ途中途中「うーーーん」となって本から視線をそらすことはありましたが。
でもやっぱ生きのびる上で「ユーモア」は大事やね、旧日本軍みたいに笑いの無い硬直した真面目さは悲劇だらけやなーと。肉弾(←肉の弾丸だよ?)とか玉砕(←全員討ち死にだよ?)とか竹やり(←竹やりだよ?)とか。
話長くなるわ。
僕は戦争に興味がある。それは、国家の、人間の、極限での能力が試されるからだ。企業が「経営戦略」とかいってるその戦略の、もっとも精鋭化、本気化、一般化したものが文字通り「戦略」だから。そこには誤魔化しや「なあなあ」はきかない。各国が存亡をかけて持ちうる最大の頭脳と能力をもってガチンコで戦うところに、僕は惹かれます。
日本は太平洋戦争に負けた。そして戦後教育のごちゃごちゃもあって自分で調べようとしない限り「太平洋戦争の詳細」なんてふつうは知らない(僕もまだ知らない)。「なんで負けたか?」も知らないだろうし、単純に「アメリカが強かったから」程度で終了しそうな予感。(中学時代、日本史の「現代」があんな数ページで終わるのに僕は驚きました。なんで縄文の方が長いの? と)
何か大きな問題があったとき、「なぜその問題が起こったのか?」をよくよく考えないと、「また同じ問題が起こる」と思うのです。だから、太平洋戦争についてほとんど考える機会のない現状は、危険だなーと思う。右でも左でも中道でもなんでもいいんだけど、自分で考えるってことを各個々人がやんないと、また同じ状況に陥ったときに、同じような選択肢を選んでしまいそうな気がする。思考停止、判断放棄、お上に全部任しちゃう、っていう。
……と偉そうに語ってしまって本当は全部削除したい! 「おまえ仕事もせんでなーにを偉そうに! まず、おまえの諸問題から解決せんかい!」と言われたら、耳まで真っ赤にして押入れに篭る前に逆ギレしていいですか?
『バカヤロー! 思慮する乞食が人類にとって有益である場合があるんだバカヤロー!』
すっきり☆
おお? すっかり長くなってしまった(本当はあと2時間ぐらい語りたい)。で、桜井が言いたいのは「ぜんいん『夜と霧』読んでね☆強制バトン☆」ということでした!
(戦争話のつづきはまた今度するぞ〜!)
