「ミスチルで一番好きな歌はなんですか?」と日本に住んでいて社会活動を営んでいると聞かれることがありますが、そういう時自分は「メメント・モリ・花です」と答えます。シーソーゲームとかあと最近のも好きですが、花。初上京した18の春にこの歌が街中でかかっていて、当時好きだった子と深夜に長電話している最中、「あ、いま後ろでかかってるの、ミスチルじゃない?」「そう、花」「聴きたい!聴かせて!」と言われてスピーカーに受話器を近づけて3分ぐらい二人とも黙って聴いていました。他にも深夜のバイトの帰り道、でこぼこの坂道(本当に滑り止めがでこぼこしていた)をのぼっているとき歌っていました。「こころーのなーかにぃーーとーわーなーるはなをーーさかそおーーーーさかそおーーーー」。18上京春というえばメメントモリ花。深夜に電話失恋といえばメメントモリ花。
mr.children - 花 ( hana ) memento mori - cover
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「ミスチルで一番好きな歌はなんですか?」と日本に住んでいて社会活動を営んでいると聞かれることがありますが、そういう時自分は「メメント・モリ・花です」と答えます。シーソーゲームとかあと最近のも好きですが、花。初上京した18の春にこの歌が街中でかかっていて、当時好きだった子と深夜に長電話している最中、「あ、いま後ろでかかってるの、ミスチルじゃない?」「そう、花」「聴きたい!聴かせて!」と言われてスピーカーに受話器を近づけて3分ぐらい二人とも黙って聴いていました。他にも深夜のバイトの帰り道、でこぼこの坂道(本当に滑り止めがでこぼこしていた)をのぼっているとき歌っていました。「こころーのなーかにぃーーとーわーなーるはなをーーさかそおーーーーさかそおーーーー」。18上京春というえばメメントモリ花。深夜に電話失恋といえばメメントモリ花。
You Tube
2008.03.30
「ミスチルで一番好きな歌はなんですか?」と日本に住んでいて社会活動を営んでいると聞かれることがありますが、そういう時自分は「メメント・モリ・花です」と答えます。シーソーゲームとかあと最近のも好きですが、花。初上京した18の春にこの歌が街中でかかっていて、当時好きだった子と深夜に長電話している最中、「あ、いま後ろでかかってるの、ミスチルじゃない?」「そう、花」「聴きたい!聴かせて!」と言われてスピーカーに受話器を近づけて3分ぐらい二人とも黙って聴いていました。他にも深夜のバイトの帰り道、でこぼこの坂道(本当に滑り止めがでこぼこしていた)をのぼっているとき歌っていました。「こころーのなーかにぃーーとーわーなーるはなをーーさかそおーーーーさかそおーーーー」。18上京春というえばメメントモリ花。深夜に電話失恋といえばメメントモリ花。
『人の殺され方(さざざまな死とその結果)』ホミサイド・ラボ著(データハウス)
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一度見ると忘れられない写真集に「死体写真」があります。見たいか?見たくないか?でいえば見たい、でも見ない方がいいのかもしれないけれど見たい。最初は衝撃受けるけど、でもだんだんと慣れてくる。今ふと思いましたが「死体」以上のタブーって何がありますか? 性器丸出しの映像は鬼頭が擦り切れるぐらい出回ってるし、フィストファックだアナルだってちょこっとググれば「蚤の病」だ。(この「蚤の病」という慣用句は今勝手に作りました。でもここから広まれば1世紀後には慣用句)
戦争や災害や交通事故の写真も本質は「死体」だし、宗教の大きな目的の一つは「死体の扱い方」にある(と勝手に決め付ける)。インドのガンガー河川では「うわっけむたっ!煙が目にしみる!ってこれ何の煙?」で下見たら死体が普通に炎天下でグリグリとグリル焼きのようにグリグリ3体ほど焼かれていて、それを20人ぐらいの人が取り囲んで見ていて、死体のそばでは木の棒を持った人が薪を押し込んでいて、牛が見ていて、犬も何匹か紛れ込んでいて、頭を丸めてオレンジ色のタイでお坊さんがよく着てるような袈裟を着てる人が祈っている。祈っている人は宗教関係者ではなくて死人の家族の代表だ。女はいない。「女は泣き喚くから家でお留守番。泣いたら死人は成仏できない」のがヒンズーの教えらしい。でもたぶん真相は泣き喚く女の人の扱いは死体以上に難しいからだ。でも死体は焼ける。焼けて、布でぐるぐる巻きにしていたはずなのにいつの間にか全裸(全筋肉?)で、最後には「腰」が残る。腰が残るまで悠長に見物していたわけではなくて、インド人ガイド(←ぼったくりで、呼んでもないのに勝手にそばに来て優しい英語で話してくれる)がそう言っていました。腰という英語がどういう単語かは思い出せないがきっとジェスチャーか何かでそう言ったんだと思う。(ちなみに焼け残った「腰」はガンガーに投げ入れるそうです。あと、自殺者とか幼児はそのまま重石を付けて投げ入れるそうです。腐乱して、浮いてくる? 浮いてきます)
この本「人の殺され方」にも死体は白黒写真で出てきます。「窒息死」「溺死」「毒殺」「刺殺・斬殺」「焼死」「感電死」「銃殺・爆殺」「交通事故死」「虐待死」というカテゴリーに分類されており、個人的には「爆殺」を読みたくて立ち読みしておりましたところ、大変興味深くて購入いたしました。「リストカット」もありますが「リアル・リストカット」で骨まで見えてます。こうまで(動脈まで切る)しないと人は死ねません。
思い出しました。僕が生まれて初めて人の死体を写真で見たのは「おかだゆきこさん」でした。86年4月8日に飛び降りられてるみたいなので、自分は9歳?ですね。9歳の時に見たおかださんの9階ぐらいからの飛び降り自殺写真は女性週刊誌のトップに載っており、何度も何度も見ましたので今でも鮮明に思い出せますし、絵も描けます。白黒写真でしたので白い脳味噌が塊として飛び出しておりました。タクシーの運転手が車窓からそれを「なに?なに?人?人?」みたいなノリで見ておりました。
http://happytreefriends.atomfilms.com/index.html
(人ではないみたいですが「さまざまな死とその結果」という意味では大変興味深いアニメーションです。アニメですが妊婦さんおよび心臓の強くない方は注意!)
***『人の殺され方(さざざまな死とその結果)』ホミサイド・ラボ著(データハウス)
Book
2008.03.30
![]() | 人の殺され方―さまざまな死とその結果 (DATAHOUSE BOOK) ホミサイドラボ データハウス 2006-02 by G-Tools |
一度見ると忘れられない写真集に「死体写真」があります。見たいか?見たくないか?でいえば見たい、でも見ない方がいいのかもしれないけれど見たい。最初は衝撃受けるけど、でもだんだんと慣れてくる。今ふと思いましたが「死体」以上のタブーって何がありますか? 性器丸出しの映像は鬼頭が擦り切れるぐらい出回ってるし、フィストファックだアナルだってちょこっとググれば「蚤の病」だ。(この「蚤の病」という慣用句は今勝手に作りました。でもここから広まれば1世紀後には慣用句)
戦争や災害や交通事故の写真も本質は「死体」だし、宗教の大きな目的の一つは「死体の扱い方」にある(と勝手に決め付ける)。インドのガンガー河川では「うわっけむたっ!煙が目にしみる!ってこれ何の煙?」で下見たら死体が普通に炎天下でグリグリとグリル焼きのようにグリグリ3体ほど焼かれていて、それを20人ぐらいの人が取り囲んで見ていて、死体のそばでは木の棒を持った人が薪を押し込んでいて、牛が見ていて、犬も何匹か紛れ込んでいて、頭を丸めてオレンジ色のタイでお坊さんがよく着てるような袈裟を着てる人が祈っている。祈っている人は宗教関係者ではなくて死人の家族の代表だ。女はいない。「女は泣き喚くから家でお留守番。泣いたら死人は成仏できない」のがヒンズーの教えらしい。でもたぶん真相は泣き喚く女の人の扱いは死体以上に難しいからだ。でも死体は焼ける。焼けて、布でぐるぐる巻きにしていたはずなのにいつの間にか全裸(全筋肉?)で、最後には「腰」が残る。腰が残るまで悠長に見物していたわけではなくて、インド人ガイド(←ぼったくりで、呼んでもないのに勝手にそばに来て優しい英語で話してくれる)がそう言っていました。腰という英語がどういう単語かは思い出せないがきっとジェスチャーか何かでそう言ったんだと思う。(ちなみに焼け残った「腰」はガンガーに投げ入れるそうです。あと、自殺者とか幼児はそのまま重石を付けて投げ入れるそうです。腐乱して、浮いてくる? 浮いてきます)
この本「人の殺され方」にも死体は白黒写真で出てきます。「窒息死」「溺死」「毒殺」「刺殺・斬殺」「焼死」「感電死」「銃殺・爆殺」「交通事故死」「虐待死」というカテゴリーに分類されており、個人的には「爆殺」を読みたくて立ち読みしておりましたところ、大変興味深くて購入いたしました。「リストカット」もありますが「リアル・リストカット」で骨まで見えてます。こうまで(動脈まで切る)しないと人は死ねません。
思い出しました。僕が生まれて初めて人の死体を写真で見たのは「おかだゆきこさん」でした。86年4月8日に飛び降りられてるみたいなので、自分は9歳?ですね。9歳の時に見たおかださんの9階ぐらいからの飛び降り自殺写真は女性週刊誌のトップに載っており、何度も何度も見ましたので今でも鮮明に思い出せますし、絵も描けます。白黒写真でしたので白い脳味噌が塊として飛び出しておりました。タクシーの運転手が車窓からそれを「なに?なに?人?人?」みたいなノリで見ておりました。
http://happytreefriends.atomfilms.com/index.html
(人ではないみたいですが「さまざまな死とその結果」という意味では大変興味深いアニメーションです。アニメですが妊婦さんおよび心臓の強くない方は注意!)
***『人の殺され方(さざざまな死とその結果)』ホミサイド・ラボ著(データハウス)
バカと非バカ
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キャバ嬢「バカと非バカの違い、わかる?」
白パンダ「なんだろ」
キャバ嬢「非バカはバカのものまねができるけど、バカは非バカのものまねができない」
白パンダ「じゃーおれは?」
キャバ嬢「変態。ただの、変態」
1977-2977
2008.03.30白パンダ「なんだろ」
キャバ嬢「非バカはバカのものまねができるけど、バカは非バカのものまねができない」
白パンダ「じゃーおれは?」
キャバ嬢「変態。ただの、変態」
『百年の孤独』G・ガルシア・マルケス(新潮社)
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長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思いだしたにちがいない。マコンドも当時は、先史時代のけものの卵のようにすべすべした、白くて大きな石がごろごろしている瀬を、澄んだ水が勢いよく落ちていく川のほとりに、葦と泥づくりの家が二十軒ほど建っているだけの小さな村だった。
***『百年の孤独』G・ガルシア・マルケス(新潮社)
『地球はな、いいかみんな、オレンジのように丸いんだぞ!』
「百年の孤独」が面白すぎて、また読んでます。いま前半の100ページ過ぎたあたり。また爆笑。ホセ・アルカディオ・ブエンディア(お父ちゃん)が『庭の栗の木に縛り付けられるシーン』と、行方不明だったホセ・アルカディオ・ブエンディア(長男)が「やあ」と言って帰ってくるシーン。
≪地震のようにあたりのものが揺れた≫≪目をさますと、十六個の生卵を飲んだ≫≪数ヶ国語の文句が青や赤で刺青された、信じられないような逸物(ペニス)≫≪放屁で花を枯らしてしまうこの大男≫、ホセ・アルカディオ・ブエンディア(長男)。大好きだわ、この長男。
彼に惚れるレベーカがまた健気で、あまりの好きっぷりに自制心失って、
≪昔のように、ふたたび土や壁の石灰をむさぼった。しゃぶりすぎて、親指にまめができた。死んだ蛭のまじった緑色の胃液をもどした。≫
感極まるとすぐ庭の『土』食べちゃうんだもんレベーカ。。。かわいすぎ。その後の二人の初夜、壮絶すぎ。
「百年の孤独」にはこういう好き好きポイントがあと10か所以上あって、ちなみに『庭の栗の木に縛りつけられたお父ちゃん』はその後100年ずっと縛りつけられたまんまです。みんな忘れちゃってて、たまーに10年に一回ぐらい思い出すのが爆笑なんですけどそのまま放置。インフレ率1200パーセント、戦後ドイツ抜いて世界一のガブリエル・ガルシア・マルケス☆
(※本の「帯」の宣伝文、なんか仰々しすぎやしませんか? あれ読んで引かなきゃいいけど。マルケスさんのインフレについてちっとも触れてない気がしますよーーー)
(※と言いつつ、ああ、確かに「帯」の文句なのかもしれません。この本、ひたすら長いけど、最後に通ずるものはそういうことなのかな。あのラストシーン、「あれ、じつはこの本って、ぜんぶ蜃気楼だったの・・・!?」的な、静寂のラスト、500ページ読み通して味わって欲しいです。「ドラクエ」に似てる。時間と展開と最後)
Book
2008.03.23
![]() | 百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967)) ガブリエル ガルシア=マルケス Gabriel Garc´ia M´arquez 鼓 直 新潮社 2006-12 by G-Tools |
長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思いだしたにちがいない。マコンドも当時は、先史時代のけものの卵のようにすべすべした、白くて大きな石がごろごろしている瀬を、澄んだ水が勢いよく落ちていく川のほとりに、葦と泥づくりの家が二十軒ほど建っているだけの小さな村だった。
***『百年の孤独』G・ガルシア・マルケス(新潮社)
『地球はな、いいかみんな、オレンジのように丸いんだぞ!』
「百年の孤独」が面白すぎて、また読んでます。いま前半の100ページ過ぎたあたり。また爆笑。ホセ・アルカディオ・ブエンディア(お父ちゃん)が『庭の栗の木に縛り付けられるシーン』と、行方不明だったホセ・アルカディオ・ブエンディア(長男)が「やあ」と言って帰ってくるシーン。
≪地震のようにあたりのものが揺れた≫≪目をさますと、十六個の生卵を飲んだ≫≪数ヶ国語の文句が青や赤で刺青された、信じられないような逸物(ペニス)≫≪放屁で花を枯らしてしまうこの大男≫、ホセ・アルカディオ・ブエンディア(長男)。大好きだわ、この長男。
彼に惚れるレベーカがまた健気で、あまりの好きっぷりに自制心失って、
≪昔のように、ふたたび土や壁の石灰をむさぼった。しゃぶりすぎて、親指にまめができた。死んだ蛭のまじった緑色の胃液をもどした。≫
感極まるとすぐ庭の『土』食べちゃうんだもんレベーカ。。。かわいすぎ。その後の二人の初夜、壮絶すぎ。
「百年の孤独」にはこういう好き好きポイントがあと10か所以上あって、ちなみに『庭の栗の木に縛りつけられたお父ちゃん』はその後100年ずっと縛りつけられたまんまです。みんな忘れちゃってて、たまーに10年に一回ぐらい思い出すのが爆笑なんですけどそのまま放置。インフレ率1200パーセント、戦後ドイツ抜いて世界一のガブリエル・ガルシア・マルケス☆
(※本の「帯」の宣伝文、なんか仰々しすぎやしませんか? あれ読んで引かなきゃいいけど。マルケスさんのインフレについてちっとも触れてない気がしますよーーー)
(※と言いつつ、ああ、確かに「帯」の文句なのかもしれません。この本、ひたすら長いけど、最後に通ずるものはそういうことなのかな。あのラストシーン、「あれ、じつはこの本って、ぜんぶ蜃気楼だったの・・・!?」的な、静寂のラスト、500ページ読み通して味わって欲しいです。「ドラクエ」に似てる。時間と展開と最後)
キングスライムがわざわざ城からやってきた!
春までもたない
CoM0 TrB0
花粉症と風邪と肺機能の低下による呼吸困難に襲われていた「じいさん」は、けれど、最期の力をふりしぼって、酸素マスクを取り外した。そして、語りはじめた。
「ひゅー、ひゅー、むかし、そのむかし、テキストサイト、というブームが、ひゅー、あった」
窓の外には桜の花の蕾が緑色の外皮を押し破って今にも咲き乱れようとしていた。
「あのブームは、ひゅー、いったいなんだったんだ?」
新品の透明な尿瓶は一度も使用されずにベッドの脇でうっすらと埃をかぶって置いてあった。
「いつからネットは、慣れ合いの、当たり障りのない、過激な意見はすぐに炎上される、うっすいカルピスのような空間になったんだ? それか、俺が知らないだけか? 俺の知らないどこかにはまだまだ当時のテキストサイトのような文章がごっろごろ眠っているのか? それはどこだ? どこにそんな文章がある!?」
医者も看護師も付き添いの牧師もキャバクラ時代の黒服仲間の嵐山もみんな黙っていた。
「mixiのせいか? ブログのせいか? いや、だれのせいかだなんて犯人捜しがしたいんじゃない、そんなことよりも俺は血の通った生身の人間の心からの叫びが、見たい。クリックした瞬間に全身に鳥肌立って息せき切ってスクロールしてるサイトが、見たい。テキストサイトブームよりもはるか昔、まだまだ日本にネットが上陸したばかりで孤島のようなHP群がぽつぽつ生まれていたあの頃、リンクをクリックするたびにドキドキしていた、どんなにくだらない文章でも、どんなに稚拙なサイト構成であっても、俺は感極まった」「人間の深淵を覗き見ているような見ちゃいけないもん見てしまったような、それらはみんな誰かの何かを表現しなくちゃ生きてられない真皮を剥いだ魂の無垢な露呈だったんだ、あいつらみんな健気に一人で、たった一人で、立ってた」
『血圧上昇』と看護師が静かに言った。窓ガラスが春一番を受けてカタカタと鳴った。
(でもおじいちゃん)と孫のナカムラ君はおじいちゃんを見つめた(当時のサイトも玉石混淆で、でも比較的『玉』が多く見受けられたのは総母体数が少なかったからで、『玉』は『玉』同士すぐに繋がることができたから、だから素敵なサイトが多いように見えたんです、錯乱しはじめたおじいちゃんの脳内はもう『過去=良かった』という論理式しか成り立っておらず、冷静に解析する思考をもう持ち合わせていません)的なことを0コンマ02秒で思ったが、でもうつむいたまま、足先の尿瓶に太陽の光が反射して描き出すスペクトルを眺めていた。
医師が看護師にそっと何かを耳打ちした。看護師が部屋の外へ出た。ドアが開いて一呼吸置いたあと、冷たい廊下の空気がわずかに部屋中に侵入して、しばらく漂ったあと、消えた。
「孤独な、血だらけの魂が、深夜に震えながら泣きながら誰かに向かって『ここにいるよ』と声を上げていた」
じいさんは目を閉じた。目じりのしわの間が濡れていた。嵐山がたまらなくなって諭すようにささやいた。「mixiに日記かけば、すぐにマイミクがコメントつけてくれるよ。もう昔みたいに、寂しくなんかないんだよ」
「そのコメントに意味はあんのか!?」
じいさんは眼球が飛び出さんばかりに目を見開いた。
「そのコメントは、本当の本当に、おまえが本当に伝えたい言葉なのか!?」
『血圧上昇、このままでは脳内静脈瘤および動脈瘤が持ちません、脳梗塞、再発します』『大至急***注入、***の数値をあと3上げて、***を限界値まで』『大至急***注入』
「お、おしえてくれ、さ、最期に、おしえてくれ、ネットは、この先、どうなる? 当たり障りのない村社会がどんどん世界を覆っていくのか? これじゃ結局おれが逃げ出した田舎と、なーんにも言いたいことが言えない田舎と、ほれ、同じじゃーーーないか!? 働き盛りの大人は無言で街に出、残された思春期の子供たちがわーわー愚痴を吐きたてる、そんな、そんな田舎に、おれは、ひゅー、おれは、ひゅー、ひゅー。おれは、ひゅー」
「じいさん」
2008.03.22
花粉症と風邪と肺機能の低下による呼吸困難に襲われていた「じいさん」は、けれど、最期の力をふりしぼって、酸素マスクを取り外した。そして、語りはじめた。
「ひゅー、ひゅー、むかし、そのむかし、テキストサイト、というブームが、ひゅー、あった」
窓の外には桜の花の蕾が緑色の外皮を押し破って今にも咲き乱れようとしていた。
「あのブームは、ひゅー、いったいなんだったんだ?」
新品の透明な尿瓶は一度も使用されずにベッドの脇でうっすらと埃をかぶって置いてあった。
「いつからネットは、慣れ合いの、当たり障りのない、過激な意見はすぐに炎上される、うっすいカルピスのような空間になったんだ? それか、俺が知らないだけか? 俺の知らないどこかにはまだまだ当時のテキストサイトのような文章がごっろごろ眠っているのか? それはどこだ? どこにそんな文章がある!?」
医者も看護師も付き添いの牧師もキャバクラ時代の黒服仲間の嵐山もみんな黙っていた。
「mixiのせいか? ブログのせいか? いや、だれのせいかだなんて犯人捜しがしたいんじゃない、そんなことよりも俺は血の通った生身の人間の心からの叫びが、見たい。クリックした瞬間に全身に鳥肌立って息せき切ってスクロールしてるサイトが、見たい。テキストサイトブームよりもはるか昔、まだまだ日本にネットが上陸したばかりで孤島のようなHP群がぽつぽつ生まれていたあの頃、リンクをクリックするたびにドキドキしていた、どんなにくだらない文章でも、どんなに稚拙なサイト構成であっても、俺は感極まった」「人間の深淵を覗き見ているような見ちゃいけないもん見てしまったような、それらはみんな誰かの何かを表現しなくちゃ生きてられない真皮を剥いだ魂の無垢な露呈だったんだ、あいつらみんな健気に一人で、たった一人で、立ってた」
『血圧上昇』と看護師が静かに言った。窓ガラスが春一番を受けてカタカタと鳴った。
(でもおじいちゃん)と孫のナカムラ君はおじいちゃんを見つめた(当時のサイトも玉石混淆で、でも比較的『玉』が多く見受けられたのは総母体数が少なかったからで、『玉』は『玉』同士すぐに繋がることができたから、だから素敵なサイトが多いように見えたんです、錯乱しはじめたおじいちゃんの脳内はもう『過去=良かった』という論理式しか成り立っておらず、冷静に解析する思考をもう持ち合わせていません)的なことを0コンマ02秒で思ったが、でもうつむいたまま、足先の尿瓶に太陽の光が反射して描き出すスペクトルを眺めていた。
医師が看護師にそっと何かを耳打ちした。看護師が部屋の外へ出た。ドアが開いて一呼吸置いたあと、冷たい廊下の空気がわずかに部屋中に侵入して、しばらく漂ったあと、消えた。
「孤独な、血だらけの魂が、深夜に震えながら泣きながら誰かに向かって『ここにいるよ』と声を上げていた」
じいさんは目を閉じた。目じりのしわの間が濡れていた。嵐山がたまらなくなって諭すようにささやいた。「mixiに日記かけば、すぐにマイミクがコメントつけてくれるよ。もう昔みたいに、寂しくなんかないんだよ」
「そのコメントに意味はあんのか!?」
じいさんは眼球が飛び出さんばかりに目を見開いた。
「そのコメントは、本当の本当に、おまえが本当に伝えたい言葉なのか!?」
『血圧上昇、このままでは脳内静脈瘤および動脈瘤が持ちません、脳梗塞、再発します』『大至急***注入、***の数値をあと3上げて、***を限界値まで』『大至急***注入』
「お、おしえてくれ、さ、最期に、おしえてくれ、ネットは、この先、どうなる? 当たり障りのない村社会がどんどん世界を覆っていくのか? これじゃ結局おれが逃げ出した田舎と、なーんにも言いたいことが言えない田舎と、ほれ、同じじゃーーーないか!? 働き盛りの大人は無言で街に出、残された思春期の子供たちがわーわー愚痴を吐きたてる、そんな、そんな田舎に、おれは、ひゅー、おれは、ひゅー、ひゅー。おれは、ひゅー」


