『日本はどう報じられているか』石澤靖治編(新潮新書)

CoM0 TrB0
4106100525日本はどう報じられているか (新潮新書)
石澤 靖治
新潮社 2004-01

by G-Tools




「先生も買春してんじゃん!うちらが援交したってなにョ?」

「大人が談合とか賄賂とかインサイダー取引とか、そんな卑怯な真似するから、俺もズルする!」


***

ハンムラビ法典を出すまでもなく、目には目を、の論理は払拭しがたいものがあります。正論っちゃ正論だからです。(ちなみに、買春は罪ですが、エンコウは罪にはなりません法律上は)


現に僕も、誰かに喧嘩を売られて、それが勝てそうだったら(←ここ重要!)買います。負けそうだったら? 当然、逃げます。こびへつらいます。そういう意味では僕は卑怯者ですが、風車に立ち向かうのは変人ドンキホーテか「あばれはっちゃく」ぐらいなもので、そんな人は早晩、早死にです。


たとえば僕は、実際、満員の中央線のなかで酔ったおっさんがおっさんに喧嘩をふっかけてて、車内騒然みたいなところで、たまたまそばに立ってて「あら奇遇ね」って酔ったおっさんの後ろから「うっちゃり」かけて阿佐ヶ谷で車外に押し出し一件落着〜、までは良かったんですが、扉が閉まりかけてて置き去りにされそうだったんで、慌てて飛び乗ったらドアに食べられました。ぷしゅーって。がっしんって。

ええ、リアル電車男的自慢話です。たまには自慢もしてみたいお年頃なのです。ドアに食べられたあと、何食わぬ顔で平然と立ってんのも、けっこう切ないよ。


さて、そんな感じで、東に喧嘩あれば行ってみて強そうだったら歓声あげて110番し、西に喧嘩あってこっちに危害が及ばなそうなら「まーまーおちついて」って止めに入って自己満足に浸り、とかしてるうちにキャバの世界に入って「本物のヤクザ」と「人殺し」を見た。


はっきり言いますが、ヤクザの前で正論及び正義論はききません。彼らが怖いのは、やっぱ最後にゃ「やるときゃやる」(←やるは「あの漢字」ね☆)からです。

刃物、拳銃、の前に、あの「やるときゃやる」の迫力でこられたら、一般市民は太刀打ちできません。僕は間近でヤクザの喧嘩を見た瞬間、かたく心に誓いました(この先、喧嘩みても、決して止めに入らず、すぐ110番やな……)と。



***

さて、話は大きくそれたが『日本はどう報じられているか』石澤靖治編(新潮新書)について。

イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、アラブ世界、中国、韓国、が現地のメディアで日本をどう報じているかについていの、実例と、専門家によるコメント集、です。

面白い。実に面白い!

内外メディアの報道姿勢の偏向っぷりとか米国のグローバリゼーションと一極集中とプロパガンダとイラク戦争、とかかいてると、かいてる僕も疲れるしF1層にもそっぽ向かれそうなので、話かえます。


『日本の路地では、気兼ねなく立ち小便してよい。〜。満員電車には悪名高いチカンと呼ばれる哀れな連中がいる。もし痴漢に遭遇したら、手をつかんで空中高くさしあげ、『チカン』と叫ぼう。痴漢は恥かしさのあまり、家に帰ってからハラキリをするだろう』2002,5,25イギリス「デイリー・ミラー」


ハラキリて。「ゲイシャ」「サムライ」「ハラキリ」が日本なんですねやっぱり。最近も大臣がお亡くなりになりましたが、きっと海外では「日本のサムライがハラキリをした」って報道してるんでしょうね。

さて、こんな感じでいろいろと面白い記事の紹介がわんさかあって、本当は一個一個あげて「ははは」とか「う〜む」とかやりたいんだけど、今日の本題は「イスラム世界」について。



「イスラム世界のテロとヒロシマ」について。



***

イスラム世界の自爆テロは、「自分達の目的のために一般市民をまきぞいにする卑劣な行為」という報道がなされておりますが、では、現地イスラムの方々はどのようにお考えなのでしょうか? 


↓「アル=ジャズィーラ」のHPより。長いけど。誰か偉い二人の会話。



『やれやれ、君ね、本当のところを率直に言うとだね、あのね、第一に、変な話だ。正統な公権力を攻撃するとテロリズムなのか。無辜(むこ)の民に対するテロリズムはいかんと。じゃ聞くが、アメリカは、日本のナガサキとヒロシマに原爆を落とした時、犠牲者は軍人だったか一般人だったか』

「一般人です」

『そうだろう。よし、正統な権力は尊重しないといかんというが、その権力が、百人、千人、いや何十万人もの一般人を殺しているだろう? よし、それじゃこの正統な権力というやつが、正統な権力といえるのか? そういうのは、一般人を殺しているテロリズム権力というのだ。1945年からこの瞬間まで、そういう権力は一般人を殺してきた。どうだ。ヴェトナムで一般人は殺されたか殺されなかったか?』

「一般人が殺されました」

『もちろんだ。一般人が殺された。今、今、占領されたパレスチナでアメリカの武器で一般人が殺されているのじゃないのかね?』



つまり↑を要約すると、『先生も買春してんじゃん!うちらが援交したってなにョ?』になる、というね。飛びすぎ? どうだ。じゃ、また本文を要約して引用↓



『「ヒロシマ」が「絶対悪としてのアメリカ」を証明するためのカギとなり、「ヒロシマ→ヴェトナム→パレスチナ」が一直線につながり、一般人を狙ったテロリズムまでも正当化しようとする論理展開。つまり、「アメリカは一般人を殺した」という非難を声高に行い、そこから「われわれもアメリカに対抗するために一般人を殺してもいい」という結論を導いている』


これがイスラム教徒、アラブ世界の常識、らしい。


みなさんは、どう思いますか?




(アメリカの原爆投下の事実は、アメリカ国内ではほとんど知られていないと聞いた。博物館?ができたのはつい最近、確か90年代だったと思う。1996年の国際司法裁判所では原爆投下は違法だった、みたいな判決を受けてる。でも、だからといって、「日本万歳!アメリカ○○!」というわけではなくて、日本の戦争責任もあるし、でも欧米列強の植民地政策の恐怖もあるし、でも〜 ⇒ ってやってると、話はつきませんねぇ。ちなみに、米国は日本の「同盟国」なので、僕は建前としては「アメリカ万歳!星条旗万歳!」ということになっております)

(アメリカが嫌な人はどうしたらいいのか? 本当に嫌だったら『革命』起こすしかないっしょ。本気でね。それか、国外逃亡。若者が『革命』叫ぶ社会も、見てみたいかも)


***

●欧米列強(死語?)の植民地政策

●第二次世界大戦前の帝国支配

●先進国と途上国の格差

●米国主導の「強けりゃOK」主義

●キリスト教と欧米社会

●仏教とアジア、ヒンズー教とインド

●神道と仏教と島国日本

●21世紀の教育論、家族のあり方

・・・

といったことにものすごく興味のある桜井パンダなのです。ち○こ、う○こ、ばっかり言ってますが、ねぇ? 気にならない? 英語勉強した方がいい? まずそっから? ほーい。 
Book  2007.05.31

新世紀エヴァンゲリオン&ヱヴァンゲリヲン新劇場版と、若者と同世代のみなさんと、そして、庵野さんに捧げます!

CoM0 TrB0
B0000DJ299劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に
緒方恵美 三石琴乃 山口由里子
キングレコード 2003-11-27

by G-Tools




『新世紀エヴァンゲリオン』庵野秀明



TV放映95年、劇場公開97年。

あれからもう10年になります。


もしかしたら今の若い人は、
名前ぐらいしか知らないかもしれない。

DVD見ても、
「面白いけど、社会現象になるほど?」
という感想は、当然だと思う。
僕もいま20歳なら、そう思うかもしれないから。

当時の僕も、ブームにのって、
TVの再放送を半分ぐらい見ただけで、
とりあえず行っとこっか? ぐらいの軽いノリで、
劇場版2部作を見に行った。

正直、話題の映画、ぐらいにしか思っていなかった。


でも。

見終わって、精神崩壊。


その後、友達からTVシリーズを全巻借りて
見た。

そしたらまた、精神崩壊。




あのころ、僕の心のかなりの部分は
意識的にも、無意識的にも
エヴァンゲリオンで占められていたと思う。

でも、当時は、僕だけじゃなくて、
社会のすべてが、
エヴァンゲリオンで占められていたように感じた。

大学の英語のリスニングは「Fly Me to the Moon」だったし、
ゼミの教授もネットで人類保管計画について書き込んでいろいろ言われてたし、
男性誌、女性誌、言論雑誌からエロ本、ニュース23まで、
あらゆるマスコミが社会現象として特集していた。
関連書籍も、本屋に入ってすぐの場所で、1コーナーを丸々埋め尽くしていた。


なぜ、あれほどの社会現象になったのか?


それはきっと、

阪神大震災があって、オウム事件があって、凶悪な少年犯罪があって、バブルがはじけて先の見えない大不況で、有名企業が倒産しまくって、世紀末で何が起こるか分からないと騒がれていて、

僕らは、誰かと確認しあっていたわけじゃないけれど、
ずっと不安を感じていたんだと思う。

そこに、エヴァンゲリオンがあった。




だから、
今の20歳前後の人が「エヴァわかんねー」というのは
ぜんぜん正しくて、
あれはあの時代のなかで、必然のなかで人気が出たアニメなんだと
僕は思う。

それはつまり、
僕が全共闘世代の気持ちが、安田講堂の闘いの意味が、
本当はわからないのと同じだ。

だから、今の若い子は、
リアルでエヴァンゲリオンの良さはわからないかもしれないけれど、
でも、ちょっとでも気になっている方がいらっしゃったら、
近所のレンタル屋さんにあると思うので
見てください。

10年前のアニメだけれど、今でも全然見れると思うし、
逆に10年後も20年後も、100年後も見れると僕は思う。
偉そうで恐縮ですが。




最後に。

僕が久しぶりに真面目に書いているこの文章は、

そんな「見ようかどうしようか?」迷っている若い人の背中を押してあげるメッセージでもあるし、
あの時代を、世紀末を、エヴァンゲリオンを見て育った同世代のみなさんに対しての、
もう一度10年ぶりに新しく上映されるヱヴァンゲリヲンを見に行きませんか、というメッセージでもあるし、

でも本当は、本音をいうと、


庵野さんに対する、あのとき言えなかった感謝なのです。






***

前売り券はまだ買っていませんが、庵野さん、絶対に見に行きます!(桜井パンダ)

ちなみにマニアックな話なんですが、庵野さんの実写映画「ラブ&ポップ」&「式日」も劇場で見てて、どっちが好きかといえば「式日」で、当時の彼女を無理やり連れてっていっしょになって精神崩壊して楽しんでいたのですが、これについてはまたどっかで話します。

***
Film  2007.05.30

『カンタベリー物語』パゾリーニ

CoM0 TrB0
B0000844EO<パゾリーニ・コレクション>カンタベリー物語[オリジナル全長版]
ピエル・パオロ・パゾリーニ ジェフリー・チョーサー
エスピーオー 2003-02-21

by G-Tools



脱糞、放尿、放屁、乱交、男色、肛門愛好、泥棒、殺人、夜這い、不倫、地獄絵図。ってならべると、アダルトサイトの検索にひっかかって変なTBとかCOとか来そうで今からすっごく楽しみですが、ええ、これらをですね、「志村けんのバカとの様」的コント、あるいは「北野武のTAKESI’S」的大喧騒で描いた作品、それがパゾリーニ監督の『カンタベリー物語』。

全編、「なんじゃこりゃ〜」と思いつつ笑いながらも途中何度かうとうとしながらも最後の地獄絵図で大狂乱!てかみんなおちんちんブラブラさせすぎ。主演?パゾリーニのお茶目でいたずらっこな目ん玉が忘れられない、70年代のカンヌかベルリンかの偉い賞をとった作品です。

ちなみに「ソドムの市」を見たくて近所のビデオ屋に行ったらなかったので『カンタベリー物語』を借りた、というわけで、先程、念願の「ソドムの市」を借りました。すっごい楽しみですが、ちょっと人生変わりそうで嫌な予感。見たら何か言うぞ。
Film  2007.05.30

第09話「庭に降る雨」No7

CoM0 TrB0
ゼリービーンズが口の中でとろける。マティーニの大人の味を中和する。氷の奏でる密やかなメロディーに酔いしれて、僕らは淡い照明につつまれエレヴェーターに乗り込んだ。

「酔っちゃった」

里奈さんの胸が、僕の二の腕にふれる。やわらかく、沈む。「さくらいくん、もう、帰っちゃうの?」帰りません。神かけて帰りません。ふふふ、と里奈さんは笑う。腕にからまる。里奈さんの熱い体温。やばい。僕の必死の抵抗も虚しく、下半身が準備体操を始めてしまっている。やばい、やばいって、このままだと里奈さんにバレるって。。。




***

里奈さんは仙台の裕福な家の子だった。持ち物はすべてブランド品で、今夜泊まるホテルも超高級らしかった。「なんていうホテル?」僕が聞くと、里奈さんは、恥ずかしそうにうつむいて答えた。

「ちんぽ、荘」

「へ!?チンポ荘!!??」(卑猥イメージ2G分)「やだーさくらいくん、もう、へんたいでしょー」ごめんごめん、僕の大きすぎる聞き間違いで、ホテル名は「ちんざん荘」だった。そのホテル、僕がそれまで聞いたことのない、でも上流の方々には非常に有名なホテルらしかった。



外で食事を済ませ、タクシーで里奈さんを送った。東京の中心、高台にある日本庭園に囲まれたホテル。1階で軽くお茶をする。機嫌がいいのか、里奈さんはフロアのあちこちを指で差して、はしゃいでいる。

あの人、野球選手よ。あの人、指揮者よ。あの人、建築家よ。あの人、歌舞伎の人よ。

生ピアノ。バロック調だかロココ調だかゴシックだがよく分からないけれど、そのような中世ヨーロッパ風のお酒をたしなむ場所。隣に座る里奈さん。ドライマティーニ、と誰かにお願いしている。蝋燭のような照明の下、里奈さんが(かんぱい)と小声でいう。一度も飲んだことのないカクテル。苦味で嗚咽が出そうになる。でも必死になって、場慣れしているふうを装う。里奈さんが微笑む。僕も、せいいっぱいの笑顔を返す。彼女の大きく開いた胸元から、黒っぽい下着が見えた。僕は急にそわそわしだす。里奈さんの細い腕が伸びてくる。(耳、きれい……)冷たい指先が耳に触れた。心臓が激しく鳴る。里奈さんが微笑む。僕も返す。香水なのか、とても甘い香りが僕の思考を溶かしていく。今度は指に触れる。彼女の華奢な指先が、僕の指を優しく撫でる。(きれいね……)彼女の体が僕に寄り添ってくる。里奈さんの胸元が、僕の視界を奪った。




***

あたしの、赤ちゃんなの。

里奈さんは確かにそう言った。

だから、さわらないでね。

ホテルの部屋。彼女は既に眠っている。壁際のテーブルの上、手帳といっしょに写真が一枚、裏返してある。「あたしの、赤ちゃん」見たい。彼女の寝息が聞こえてくる。それを確認して、僕は写真を手にとる。でも、見ない方がいいのかもしれない。「かれの、子よ」見たい。でも、見たい。僕は酔ったせいにして、勢いでさらっと表に返した。



僕は、ぱっと里奈さんを見る。彼女は全裸で熟睡している。僕はもう一度、写真を確認する。真っ赤な何かが写っている。それは、両手両足を切り落とされたパンダの死体だった。

第09話「庭に降る雨」  2007.05.29

「死体が多すぎるから」

CoM0 TrB0


神様が僕に愛をくれるというので会いにいったら、スコップをわたされ、ここを掘れ、という。

どうして?「死体が多すぎるから」

僕は夜通し穴を堀る。太った木にかこまれた場所で、そいつらの細い隙間から薄明かりがやっとのことで手元にとどく。僕は草の奥に見える、赤黒い土にスコップを突き刺す。ガチリ、と先端が石に当たり手首がしびれ、ひやっとなる。そしてしばらくは、じとっと痛む。でも、僕はやめない。また、突き刺す。そしてまた、突き刺す。

穴は僕の背丈ほどにもなる。


1977-2977  2007.05.28

あいのけいあい

CoM0 TrB0
■桜井が敬愛している方々!(ほぼ一方的にリンク☆)

松岡正剛の千夜千冊
ろじっくぱらだいす
森下くるみの間
あんたの神じゃない
さいのつの
I SCREAM
どうして僕はこんなところに
奇なる悪戯に近い神の啓示を人型が断片程度飲み込めますように
ザイーガ
膣外射精
METABANANA
紫の紳士録
MIINK☆
私の分割した声鏡の架橋
われ思ふ、ゆえに・・・
AsianBeat
朱雀式
アルカンタラの熱い夏
『20歳までに5000冊』企画 読書録
神様なんて信じない僕らのために
白鳥百合子の“そのまま”ダイアリー
今日も元気に緑色。
女の子は日記を書かないと死んじゃウんだよ!
**世界中のラヴリーをひとりじめしてしまいたいわけではない
首吊り芸人は首を吊らない。
DeepSea
nullmullpool
セックスより完全なもの
花魁発狂
初恋 〜アフリカ・中東・アジア・中国旅行記〜
「斬鉄剣」雑文メニュー
【VOSTOK8】ボストーク8号
おれはおまえのパパじゃない
テキスタイルポップ
■蛇女ノ肛門■
WebsiteMAP
古ゲー王国
NAO's Blue Film
dividual
分裂勘違い君劇場
べにぢょの日記
あたしの異常な愛情
TAKAGISM
裏ヒゲ
eno blog
GIGAZINE
グロ大全集
X51.ORG
VIPPERな俺
オペラと本をこよなく愛するすずめのホームページです
オワリナキアクム
「廃墟デフレスパイラル」 〜ぼくたちの秘密の場所〜
エログちゃんねるニュース

■桜井白パンダ関連サイト!
セックスセックスガンガンガン!!
[World]-[Wild]-[Love] ☆

Link  2007.05.27

キャバ嬢ミーナさん

CoM0 TrB0
駅前でたびたび見かけた彼女は18歳で、
僕が声をかけるたびに、人を安心させる笑顔で
「いまのお店、やめたらね」
と明るく返してくれた。




暑さが消えない夏の夕方。
いつものように、駅前の人ごみで女の子に声をかけていると
「さくらいさん」
と名前を呼ばれた。

目の前で、浴衣姿の彼女が手をふっている。
これから花火大会に行くの、と嬉しそうに笑った。
明るい色彩の浴衣が、涼しそうだった。

「お店、やめてくれた?」
僕が笑ってたずねると、
「まだ。でも、9月から、さくらいさんのお店にいこうかな」
といって微笑んだ。




居酒屋でお酒を飲みながら、彼女の話を聞いた。

高校をやめたとか、
複雑な家庭環境とか、
家計のためにキャバで働いているとか、
てっとりばやく売春しようかなとか、
そういうようなことを2時間ぐらい話していた。

僕はただ、うなずき、お酒を飲みながら、時々彼女の顔を見た。
そこにいつもの笑顔はなくて、素面の彼女がいた。

帰り際、
「いつから来れるかな?」と尋ねると、

「怖いお姉さんとか、いない?」
「いないよ」
「ほんとう?」
「うん」

といって、笑って別れた。




秋の終りの週末。
ひっきりなしにお客さんが入店し、ウエイトが重なり、
チェックや、オーダーが飛び交い、
インカムが混線するほど誰かが叫んでいる。

営業が始まって2時間ほど経ったころ、
僕は彼女に腕を引っ張られて、柱の陰に呼ばれた。

「なに?」
「さくらいさん、あの、今日、早退してもいい?」
「え、どうして? 今日、金曜だし、
 女の子たりてないし、ちょっと厳しいんだよね」
『オーダーッ!』と店長の怒声。
反射的に、ただいまっ、と叫ぶ。

僕は小声で彼女に聞いた。
「体調、わるいの?」
「うん」
「風邪? 熱あるの?」
「これ……」
といって、彼女は左腕を見せた。

白い腕の内側。

赤い筋が、無数に、絶え間なく刻まれていた。

瞬間、目を背ける。
生理的な何かが、喉にこみあげてきた。

「それ……どうしたの?」
「きのう、発作的に、切っちゃったの」






***


01年、春。
少し読んだだけで、
誰にも真似できないと思わせる
稀有な文才をもつサイトに出会った。

写真の中の彼女は、写りが良いからなのかわからないけれど、
TVに出ているアイドルみたいで、
でもそこに書かれている彼女の言葉は、
溢れでる才気を抑えることができずに外へ外へと拡散していて、
でも、繊細で、緻密で、消えてなくなってしまいそうで、
気がつくと僕は毎日のように訪れていた。
こんな文章を、文体を、それまでに見たことはなかった。




真夏だった。

エアコンのきいた涼しい部屋の中で、
PCを起動し、いつものように彼女のサイトを開いた。

いつもの日記のカテゴリー。
大きな画像が2枚、載っていた。
彼女の腕の写真だった。

それは、子供が鉛筆でノートに線を引くみたいに
何のためらいもなく付けられた赤い無数の傷が、
血が付着し、ひどく腫れ、
何列にも何列にも隙間なく
肘の付け根までつづいていた。

一生痕が残るくらいに深い傷だと
写真を見ただけでわかった。

何がなんだか分からずに、
僕は彼女の文章を目で追った。

それは、推敲も、制御もされていない、
悲鳴だった。

想像もできないような事実がそこには並んでいて、
月並みな、慰めや、励ましや、受容なんて、全く無意味だと、
そして彼女はもしかしたら助からないのかもしれないと、
でも助かってほしいと、
そう思いながら、
僕はただそれを眺めることしかできなかった。

それから1年後、
彼女は自ら命を絶った。






***


キャバクラの仕事を辞めた僕は、
しばらくフラフラしたあと、昼間の会社に就職した。

いつも終電近くまで仕事があって、
その土曜日も、深い眠りから覚めると
太陽は既に見えない高さまで昇っていた。

遅めの昼食を食べようと、近所のファミレスに向かう。
どこにでもある系列店。
いつものように、家族連れで賑わっている。

食事を終えて、入り口のあたりをぼんやりと見ていた。

光で明るすぎる外の景色。
すべての建物が白で覆われている。
色彩のない世界。

光を反射させながら、入り口のドアが開く。
見ると、男の人と、若い女の子が立っていた。

人目をひく容姿。
見た人を、幸せにする笑顔。
綺麗な子だな、と思ったら、
それは店を辞めてから半年ぶりに会う
彼女だった。

同伴にしては早すぎる時間だったので、
きっと相手は彼氏なんだろうと思った。
楽しそうな雰囲気からも、そう感じた。

しばらくして、彼女が僕を見た。
僕は、軽く会釈する。
彼女も、少しだけ照れたように笑って、うなずき、
また男の人を見て、微笑みながら会話をつづけた。




僕は会計を済ませて店を出た。
ファミレスの階段を、ゆっくりと下りていく。

午後の太陽が地面を照らし、空気が熱くゆらいでいた。
もうすぐ夏になるな、と僕は空を見て思った。



キャバ嬢ミーナさん  2007.05.27

『世界最強のブログ名』はこれだ!

CoM0 TrB0

「みなさん今夜もやって参りました『朝まで生でヤリまくりTV!』のお時間です、司会はわたくし、エイズと梅毒以外の性病はすべて経験済みの、エリザベス・テーラーでございます。さて、今夜のゲストは、各界で今や知る人しか知らない、知らない人は全く知らない著名人、桜井パンダさんです!」

「こんばんは、兄貴の嫁さんの弟の友達の『またいとこ』、桜井パンダです。えー、最近はもっぱらゴムでしか変態行為をしていないのですが、先日ですね、勢いにかまけて生でやってしまいまして、ちょっと戦々恐々としております。朝、トイレに行くたび絶望と希望のはざまで揺れるMy性器!MyDaring!! さて、今夜のテーマは『最強のブログ名』ということで、以下、ここまで流れはいったい何だったんだ〜?というくらい真面目に語ります!」


――――――――――――――――――――
チャプター(1)人気のあるブログとは!?
――――――――――――――――――――

A、知りたい情報のあるブログ
B、有名人のブログ
C、個人のブログ

人気のある(興味のそそられる)ブログというのは、上記の3つに分けられると思います。

A、知りたい情報ブログ、というのは「株価」「映画」「ブランド品」等々、いわゆる情報系のブログ、ですね。この類のブログが人気があるのは、当然といえば当然です。

B、有名人のブログ、というのはもう言わずもがな、ですね。まなべかおり、とかそういう類の「へぇあの芸能人が、脳みそのなかで、こんなこと考えてんのかぁ〜」というブログです。

C、個人のブログ。

はい、今夜はこの「個人ブログ」で、人気のあるブログとは?について語りつくし、そこから「世界最強のブログ名」を導き出したいと思います。


――――――――――――――――――――――――
チャプター(2)人気のある「個人ブログ」とは!?
――――――――――――――――――――――――

僕が個人的にものすごく興味を持つ個人ブログというのは、

『あの!ANAのキャビンアテンダンドがお届けする機内での妄想オ○ニー記録ブログ!』

はいそこの美少女、ひかないひかない。


さて、
ではなぜ、僕は↑にひかれるのか、というと

『ギャップ』

ですね。


「キャピンアテンダント」⇒(いちおう)淑女で高値の花

なのに ⇒ 「妄想オ○ニーしかも機内で」


というこのギャップ、このギャップに僕らは胸を恋い焦がす、わけです。

では、これをふまえて、「ものすごいギャップのあるブログ名」をつけたら、それこそが「世界最強のブログ名」ではないだろうか!?とうわけで、


―――――――――――――――――――――――――――――
チャプター(3)発表!!これが「世界最強のブログ名」だ!!
―――――――――――――――――――――――――――――

『「東京大学大学院首席卒でフジテレビ社員だったんだけれども、トヨタと松下と電通に転職したんだけれどもNASAに呼ばれて宇宙飛行士になって1年間宇宙に滞在して「このように屁も浮かびます」のコメントでお茶の間の超・人気者になってしまってスマスマで「オーダー!宇宙食!」ってうんなもん作れるかぁで打ち切りになって、そのあと細木数子の番組出たら「死にます」って開口一番に言われてある日すべてが嫌んなっちゃって吉原ソープ嬢の「ひも」んなってパチプロになってしまったんだけれども、ひょんなことから衆議院選挙に立候補したら総理大臣にまでなって、エルサレム訪問中にアルカイーダの「直撃自爆テロ」にあって木っ端微塵に吹き飛んだんだけれども24時間オペに耐えて無事生還(後にこれを元に「24」のシーズン9が生まれる)し、今は南極大陸でポエムを読もうと観測船に乗り込んだら、台風カトリーナと19号とウイリーウイリーに遭遇してラスベガスまで吹っ飛んで、なけなしの1ドル紙幣をかけたらあれよあれよと1000兆ドルになってしまってマフィアに追われ、ハリウッドまで逃げて「スターウオーズ」と「スパイダーマン」と「ハンニバル」と「レオン」と「ソウ」と「タイタニック」と「もののけ姫」の合作スペクタクル巨大長編映画、をつくろうとしたらタイトルどうすんの?ってプロデューサーのスガちゃんに言われてミッキーマウスと相談したらタイトルがこんなに長くなっちゃった♪」

という映画、

を製作しようとしている、元、ADで、キャバクラ黒服で、ピンサロ面接官で、風俗嬢のひもで、サラリーマンの、桜井パンダの、ブログ♪』





はい、そこため息つかない♪
My Heart  2007.05.27

パンダは世界を救う

CoM0 TrB0

パンダである僕がいうのもなんなんですが、昨晩、NHKで四川省のパンダの幼稚園を特集してて、かぶりついて見てたんですが、幼いパンダ15匹ぐらいがみんなちょこちょこ歩き回ってて、ブランコ乗ったりスベリ台すべったり高いところ登ったりしてて、めっちゃ可愛かったんですが、特におバカな一匹がスベリ台を逆さまに、つまり頭からずるずるって、のったりのったりすべってんの見て、あれ、たまらんね、たまらん可愛さやね。パンダって危機感ないみたいで、のったりのったり、もったりもったり、くっついたりはなれたり。パンダは世界を救う、少なくとも中国を救う、って思った。いつか行く。みんなに会いに。
1977-2977  2007.05.25

☆虚弱体質バトン☆

CoM0 TrB0
「私がどうしてここまで変態になったのか?をお話したい」


とその老人は、
老人のように咳き込むノートPC(ア・プリオリ)を相手に
嬉しそうに、語り始めた。



***

そのためには、
今日のお昼に回ってきた『虚弱体質バトン』に
答える必要がある。

●虚弱体質→寝たきり→孤独→妄想→変態。

という因果関係があるからだ。


ちなみに、
「なんだそのバトン?」


もちろん回ってきたのは嘘で、いまつくった。
全部で4989(四苦八苦)問ある。

くだらない駄洒落!と一笑に付すやつがいらっしゃたら、
そんなやつはみんな大好き「清涼院流水」を読むといいよ♪


さて『虚弱体質バトン』だ。

-----------------------------------------------
あなたの虚弱体質に関する4989個の質問です。
少年時代(小6)までについてお答えください。
-----------------------------------------------

Q1 虚弱体質でしたか?
はい。

Q2 体育はよく見学でしたか?
はい。

Q3 毎年のように入院していましたか?
はい。

Q4 救急車に3回以上乗ったことがありますか?
はい。

Q5 救急車は思いのほか走るのが遅い、と思いましたか?
はい。 

Q6 なんて看護婦さんは綺麗で優しいんだろう!と
   消えゆく意識のなかではい。



そろそろう読む方もうざくなってきただろう、私もだ。

さて、それほど虚弱体質だった私は、
母親に「あんたぁ、大学病院の中にある中学校に行くか?」とか
けっこうぶっちゃけ真剣に深夜に言われたときには、
もうどうすることも、できへんよなぁ。
親もわりと大変だったと思う。うん。

けれども、そこからがV字回復!

ふつうの公立の中学に行き、
ふつうの高校に行き、
大学に行き、
〜を経てキャバの黒服になった。


キャバの黒服を辞めた理由のひとつは、
辞める直前はもう毎月のように点滴を受けていた、
というのもある。

営業前の客席で、一人だけ死んだように寝てたら
とつぜん入ってきた社長(半分、ヤ○ザ)に
「うわぁぁぁ死体やぁっ!」
って驚かれたこともある。

ヤ○ザびびりすぎ。


「今は健康なんですか?」


健康ともいえるし、健康じゃないともいえる。
どっちでもいい。
死ぬときゃ死ぬ。
死ななかったらけっこう死なない。


ちなみに、
私がセンター試験を受けたときの国語の小説問題が、
吉本ばななの「TUGUMI」だった。

これが試験だということも忘れて、
真剣に、熟読玩味している自分がいた。

虚弱体質の女の子、が主人公だったからだ。


大人になって、仲良くなった女の子がいて、
なんとなく自分と空気感が似ていたから

「ひょっとして、幼い頃、病気とかしてた?」

って聞いたら、案の定、
大きな手術をしてかなり長い間、入院していたらしい。




孤独は子供を強くしない。




両親はとっくに寝静まっていて、
自分だけが眠れずにいる部屋の中で、
長すぎる時間の中で、
僕はいったい何を考えていたのだろうか?









***
「じいさん」  2007.05.24

ササ クレヨ 

CoM0 TrB0
さいきんちょっと食欲がなくて
ひとりラマダーンみたいです。
体重も病気前から8kg減りました♪

まあもとがパンダなので
皮下脂肪はたっぷりと蓄えてあるから
問題はないのですが、

アバラ デテキタヨ

ササ クレヨ ササ


(とかいいつつ、前回の日記にバター焼き
 かいてた。まあ食欲ないのは
 以前と比べてということで、
 むかしが食べ過ぎだったというわけですね♪)

1977-2977  2007.05.24

『文章読本』三島由紀夫(中公文庫)

CoM0 TrB0
4122024889文章読本 (中公文庫)
三島 由紀夫
中央公論社 1995-12

by G-Tools




 鑑賞用の果物というのがあります。一例が仏手柑で、これは見て、香りをたのしむだけのもので、食べるものではありません。食べて栄養になるという、実用的果物とはちがいます。それでは文章にも、厳密に言って鑑賞用というものがあるのでしょうか。




***

すげー!!なんかぜんぜん理解できんけど、めっちゃすげー!!ということだけはひしひしと感じました。さっき読み終わったばっかりなんですが。興奮してます。興奮してるので今回長いです。


僕と三島さんの立ち居地なんて、49階建てビルディングに匹敵するピラミッド(もしくはエッフェル塔とかエンパイアステートビルとか東京タワーとか)の底辺と頂上(それでは高度が足りないというならば、静止衛星とか木星探査機とか太陽系外に飛んでっちゃったあいつとか)なんで、僕が口をすべらせちゃって語るようなことは何もないのですが、それじゃあ何も始まらないのでいつものように適当言います。

(ちなみに自分は文学部でもなんでもないので、把握の仕方は本当適当です。良い子のみんなはぜひ真似してください♪)


***

「言語は思考を固定化する」とむかしから人に言われてて、へぇだから簡潔な英語しゃべる米国人はあんなにフレンドリーなの?でも英語本家の英国人は米国人とぜんぜん違ってみえるのは、やっぱり、歴史とか文化とか霧とか羊とかが関係してんの?と思っていたのですが、三島さん、日本語について色々教えてくださいました。


『日本文学の特質は一言をもってこれを覆えば、女性的文学と言ってもよいかもしれません』→女々しいってことね

『日本の根生(ねおい)の文学は、抽象概念の欠如からはじまった』→あいまいってことね


原始日本語(あはれ、らうたし、とかのひらがな言葉)って「源氏物語」みたいに「女性的特質を持った情念の言葉」で、

「論理的な言葉」っていう、要するに議論とかにつかう言葉(この「議論」もそう)ってのはぜんぶ「漢語とかドイツ語とかの外からきた言葉」らしい。つまり日本語にはそもそもなかったんですよ、抽象概念が。この「概念」っていう言葉ももとはドイツ語。

『日本語の特質はものごとを指し示すよりも、ものごとの漂わす情緒や、事物のまわりに漂う雰囲気をとりだして見せるのに秀でています』

なるほど!何がなるほどかというと、普通にひらがな多用して文章にしたら女っぽくなるのはなぜだろう、と常々思っていたのですが、そういうことですね。普通に原始日本語で書いたら演歌になる、というわけです。



ああ、ここまでで、まだ前半p27までの話で、本文はp227まであるので「なるほど!」ポイントはもっとたくさんあるのですが、腱鞘炎になりそうなので以下自分用に箇条書き。

・アルファベットは文章の視覚的効果を考慮せず
・美は珍奇にはじまり滑稽でおわる
・改革に安易なのはすぐ燃える木造建築のせい
・絵を見るときは色彩を見るでしょうが
・比喩と形容詞は王座から転落
・おいしいもの食べろ
・水が来た
・会話の出てこない小説は退屈だけど会話ばっかの戯曲
・「平社員たる君が社長の俺に向かって」
・小説→歩行 戯曲→舞踏
・見事な文体の悪口は喜ぶ
・読みにくい翻訳文は読むな奴隷になるな
・わたしはこれほど執拗な顔の描写を知りません
・自然と心理を一連のものとみる日本人
・一人称→日記、二人称→手紙、三人称→作品
・人称、擬音詞の節約
・格調と気品
・ジャン・コクトオは角砂糖一箱食べて寝た
・ドイツ人は男性的だけどユーモアないから
・得体のしれない方言

(↑「水が来た」とかなんのことやら、と思いますが、「水が来た」なんですねぇ)



三島由紀夫の『金閣寺』が硬質で難解で読めなかった僕は、ファースト・インプレッションであきらめていたのですが、これを機に読んでみようと思います。ちなみに処女作の『仮面の告白』はそんな僕でも読めて、感慨深かったので、三島バージンにはおすすめです!


***『文章読本』三島由紀夫(中公文庫)
Book  2007.05.23

「ほたて貝の貝柱バター焼き」

CoM0 TrB0


二三週間前からPCのファンの音が電気ショックをあびつづけている老人のうなり声のようで怖いのですが、次回更新が滞ったならば、それはこのご老人ともども天に召されてしまった、というわけですね。って早めにバックアップとっとこっと。(この「とっとこっと」って、いっしゅん、これで字面あってんの?もしや方言?という変な気分にさせてくれますね。ってもしや本当に方言だったらごめんなさい。エセ関東人なもので、イントネーションとか未だに指摘されて生きております。ちなみに先ほど「ほたて貝の貝柱バター焼き」を自分家ではじめてこさえて食したのですが、ヤヴァイネ!ウマスギルネ!)
1977-2977  2007.05.22

「ウインドウズは98だった」

CoM0 TrB0
さて、時代は飛んで、98年。

飛んでもまだまだネットはマニアックな世界で、
ゼミの最初の課題が「教授にメールを送ること」だった。
すごい、んなんで単位もらっていいのか!

そういえば
帝大の友達が「うち、休講連絡、BBSでやってるよ?」
って言ってて超衝撃うけたんだけど、
今なら当然なんでしょう。

講義があってもなくても
掲示板(←リアル)を見に行ってたなぁ。

でも、
あれはあれで、
「ち、ここまで来て休講かよ……」
「あれ、さくらいくんも、現代政治とってたの?」
「おお、サクラ子も?」
「お昼まで、時間、あいちゃうね」
「じゃさ、ガスト行って、早めのご飯でも食べよっか?」
「そうね、でもお天気だから、ちょっと散歩しない?」

あ〜い〜が〜うまれたひ〜〜このと〜〜きに〜〜〜



さて、98年。

就職活動に必要らしいという
マスコミュニケーションに感化され、
最新のウインドウズ98買ったはいいけど
メル友募集とかで適当な経歴でっちあげて楽しんでたなぁ。

女装してメル友募集してみたら、
コピペばっかで50通ぐらいきて、
女尊男卑!
と思ったなかで、

「さて、なぞなぞです。
 ***が***だったのはなぜでしょう? 
 答えは、次回のメールで!」

っていうのがあって、
うっわぁ、超答え知りたい、知りたいんだけど!
って思わずふつうにメール返してた。
たぶんホレてた。

ってのは誇張でさすがに送信はしませんでしたが。



さて、そうこうしてるうちに、
いといさんのHPも生まれ、2ちゃんもうまれ、
そして私は渋谷であの美少女に出逢ったのだ。
99年だった。

初代iマックの広告が渋谷駅の頭上で輝いていた。
夜空にまじってキラキラしていて、
とてもきれいだった。






「じいさん」  2007.05.21

「ウィンドウズは、3.1だった」と、その老人はうつろな声で再開した。

CoM0 TrB0
ウインドウズ95の前が、3.1。
その前は知らん。
知らんがどうやらゲイツは3.1で
念願の「ウインドウ」を実現したらしくそこそこ売れて、
私が最初に購入したノートPCは3.1。

回線速度は28.8。もちろん電話。
わくわくしながら海外のエロ画像見ようとしたら、
表示完了まで1分弱。

これを長すぎ!
と思うのは現代っ子だ。
私にすれば1分弱で無修正だよ?
ふつうに新宿で裏本買ったら1冊5000円の時代に、
無料で無修正ですよ!

その1分弱、私はそわそわしながら待ちつづけた。
ちょびっと、ちょびっとづつ、表示されてく快感。
肝心な部分はたいてい画面下部だから、
どきどきしながら待ったもんだ。
ああ夢のような青春10代。

もちろん日本語サイトで無修正なんてなかったから、
適当にひわいな英語(だけ当時は猛勉強!)打ち込んで検索、
というか、
企業でHP持ってんのってヤフーぐらいで、
(ってこの場合、前後は逆か)
ふつうの日本人はまだまだ「パソコン通信」してた時代だ。

そっか「パソコン通信」なんて遺物、
若い子は知らんと思うが、「ニフティ」ってのが最大手で、
まぁ2ちゃんみたいなもん、というと語弊あるけど遠からず。

当時パソコン通信やってる美少女なんて
まあ田口ランディぐらいの時代というわけだ。



さて、そんな時代。

単身赴任先で電話回線パソコンにつなげっぱなしでいたら、
当時はほら携帯なんて高くて庶民のものじゃなかったから、
電話つながんなかったら文字通り本当に音信不通で、

1ヶ月後に、
「なんかさいきん電話なんねーな。
 あれ?
 回線外れてる?ってか、電話機につないでなかった!?」

って、あわてて妻に電話いれたら、

「あんたぁ!
 あと1日おそかったら、110番して
 捜索願い出そうと思ってたんよぉぉぉ!!」





今とは違った意味でエロ画像で離婚、
みたいな、ね。
「じいさん」  2007.05.21

「ウィンドウズは3.1だった」

CoM0 TrB0
「ウィンドウズは3.1だった」とその老人は語りはじめた。

しばしボケ老人の青春時代を語らせて欲しい。
ボケ老人の、ボケ防止には語ること、
そう、
老い先短い私には語ることしかできんのじゃ!

って、よく老人は「〜のじゃ!」って言ってるけど、
私は老人博物館みたいな痴呆のじゃない地方の
ってこのワープロ前後判断して勝手に「痴呆」とか
まっさきに出すんじゃねぇ!
おぬしはバカか!わしをバカにしてんのか!

って、老人はちなみに「おぬし」だなんて、
そうそう、「〜のじゃ!」「おぬし」「わしは」
なんて、使ってんの見たことねーよ!
言ってる証人だせ生きてんの!生きてんのを!

さっぽっ

(ここで入れ歯、ふっとぶ。飛距離はきみにおまかせ☆)

あぐぅあぐぅ、かっぷこん。

(入れ歯装着)

ぷっしゅう

(鎮静剤注入)

   (…さぁおじいちゃん、もうだいじょうぶでちゅよ…)


「じいさん」  2007.05.21

「きゃは☆来てくれなくてぇさみしかったのぉ、きらわれちゃったかとぉおもったぁ☆☆☆」

CoM0 TrB0
夜、繁華街を歩くと黒服の呼び込みがいたるところに立っていて、あの人たちってちょっと怖いよねぇ、と同行者に言ったら「あなたも昔あそこに立ってたじゃない」と言い返されて思い出したそうだ僕も昔はキャバクラの黒服だったんだ――。

今から3年近く前、僕はキャバクラの黒服だった。3年もあればあらゆることが変わる。3年あればヨチヨチ歩きだった中1も高校入学。高1にとって中1ははるか昔の出来事だ。そして、それは僕にとってのキャバクラ時代も同じことで、今ではもうリアルに思い出すことが困難になってきている。


***

僕はキャバクラを2店舗経験した。最初の店がいわゆる普通の「キャバクラ」で、客単価はその地域ではトップクラス。つまり、女の子もトップクラスだった。産まれて初めて見るキャバ嬢。そして、閉店後、店内で堂々と着替えるキャバ嬢。下着丸出し。ええぇ!?の日々。(って、そこかい。でも最初の衝撃はそれだった。更衣室が狭かったので、みんなふつうに席で着替えてた。そういえば初日に先輩が「みんなその辺で服脱ぐけど気にしないでね」って言ってたっけ)

最初の店には、2、3ヶ月しかいなかったので、彼女達とはほとんど話をしなかった、というかそんな暇がほとんどなかった。店の方針は軍隊のそれだった。下っ端のボーイの分際は、雑用雑用の連続で休憩する時間もなかった。

「くノ一」

それが僕の彼女たちに対する印象。くのいち、つまり刺客っていうイメージなんだけど、どんだけ忍法道中膝栗毛やねんってのは置いといて、彼女たちは色気で男に近づいて殺しちゃうってんで、くのいち。しのび。実際、うらおもてが酷かった。が、まあそれが仕事なんでしゃーないし、別に幻滅も憤りもしませんでした。

「はぁ?あの臭いオヤジまた来てんだけど、ちょーうざ、ねえ店長速攻抜いてよ、はぁまじむかつくキモイ今度いっしょに温泉いこうって誰が死んでもおまえなんかと温泉いくかヴォケェがそのアデランスちゃんと頭皮に合わせてから来いってんだ胸ばっか見すぎなんだよエロ頭皮おまえのために谷間で生まれたんじゃねーっつーのラストまでいんのはいいけどフードたのまねぇしヘルプついたら無視でしゃべんねーでドリンクあげねーでおまえはぬらりひょんか?ぬらりひょんにそっくりか?そっくりすぎか!?」「はい、レオンちゃん、お願いしま〜す♪」『きゃは☆来てくれなくてぇさみしかったのぉ、きらわれちゃったかとぉおもったぁ☆☆☆』

(↑くのいち必殺上目づかいチワワ攻撃)

これが、きくんだぁおっさんには。不思議なくらい。もちろん、すべての女の子が↑のタイプではなくて、いろんな子がいて、いろんな攻撃方法があるんだけど、すごいなぁと思います。彼女たち。あんなにキッチンで悪態ついた直後に「きゃは☆」だからね。僕はあの仕事ができる子を本当に本当に尊敬する。そして、くのいちになりきれない子、まじめな子は、できない仕事だなと思う。指3本消えちゃったヤクザがきても(このエロポン中が!)ぐらいに思える子じゃないと、つづけられないだろうな、と思うし、逆につづけようと思ったら、どっかで悪態つかないとね。


ちなみに、黒服時代の僕は他店舗の女の子と付き合っていて、次回のキャバ論は「風紀と風紀と根性焼き」について。
キャバ論  2007.05.19

「待ち合わせは、ハチ公の右前足の右端のニクキュウのあたりね♪」

CoM0 TrB0
金曜日、渋谷をあんまり知らない人と渋谷で待ち合わせる際、何の気なしに「じゃあ、待ち合わせは、ハチ公前で♪」といってしまって、しまった!と思った。が、電話は切れていたし、まあ、しゃーないかと思い、当日おそるおそるハチ公前へと、夏休みの宿題が終わらず親父に描かせたら紫を中心とした気色悪い配色になってしまってぜってぇ小3の絵じゃねえよこれ精神鑑定受けたら「欲求不満ですね」って言われるよこの交通安全ポスター、を持った小学生の気持ち、で向かった。ふぅ。


「待ち合わせはハチ公前で」というのがどれほど恥かしい行為であるか、待ち合わせた方ならわかって頂けるであろう。あれほど恥かしい待ち合わせ場所、他にない。断言できる。新宿アルタ前も恥ずかしいけど、ハチ公前よりも100万倍もましだ。で、両者はいったい何が違うのか?

それは、点と、面の、違いです。

ってなんかの授業っぽいけど、さきほどお風呂に入っていて自分なりに結論が出たので書きとめておこうと思い筆をとった次第でおじゃるじゃる。


さて、それではちょっとハチ公前で待ち合わせしてみましょう♪

(うわぁすげ―人、どこにいんの?つーか、ハチ公ってどれだよ……って、これ!?小さすぎね―か!?リアル実物じゃんこの大きさ、この人口密度に対してこの大きさ、ハチ公見えねーっつーの!)

「あー、ベンゾウさん? いまどこー?」(←携帯通話)
「いまハチ公前につきましたよ」
「ぜんぜんわかんないんだけどー。ちょっと、ハチ公の口のあたり、さわって、手ーあげててよ。じゃねー」

(もしもーし。つーか、その行為、無理だし。この300人の群集、おそらくみんな『ハチ公前』で待ち合わせしてるわけであって、みんなこの一匹のハチ公に注目しているわけであって、そのハチ公のおそらく一人分しか立つスペースのないまん前に立って、口の部分に触りつづけるだなんて、『あいつ、ハチ公の前で待ってんだ、へへーん』って300人くらいの人に0コンマ01秒ごとくらいに思われつづけ視姦されつづけるなんて、そんな羞恥プレーできるかぁぁぁぁぁぁぁ!!)


と、かなり自意識過剰にかいてみましたが、わかっていただけましたでしょうか。

これは、待ち合わせ場所が「点」なために起こった悲劇、といえます。

つまり、ハチ公があれよりも100万倍ぐらいでかくて都庁ぐらいあれば、ぜんぜん恥かしくないのだ。でかけりゃ「点」じゃなくて「面」だから。待ち合わせ目標物がでかけりゃ、分散されて恥かしくないのだ。「じゃあ、待ち合わせは、ハチ公の右前足の右端のニクキュウのあたりね♪」だなんて、諸君、キュートじゃあないか?



以下蛇足。

だから僕は渋谷で待ち合わせするときは、音楽好きにはHMV、本好きにはブックファースト、それかQフロントの1階なのでした。ちなみに渋谷109まで地下道とおって行けるので、大雨のときとか便利。って一回しかつかったことないので今でも行けるかどうかは神か道路公団か東京メトロの人が知っています。あと「しぶ地下」のおばちゃん。

My Heart  2007.05.19

「昨日」

CoM0 TrB0

昨日(ってちなみに「昨日」って打とうとしたら「作汁」になった。美味そう!なのか?)、←っていう()書きしたら、本文なにかくんだったっけ?って忘れるね。テンション戻すためにこの文削除しようかなと思ったけれど、せっかく書いたので、このまま残そう。あれだね、こういう打ち間違いって、大事なことしゃべろうとしたときに噛む、みたいなもので、一気にテンション変になるね。生活指導の先生が怒りながら「コラッ!おまえらっ!中学生が不純異性交みゅうぅぅぅ、あ、あれ?れ?」みたいなもんだ。まっかっか。

さて、「昨日」だけで↑なに引っ張ってしまって、おれはいったい本当に何を書こうとしていたんだったっけ?(つづく♪)

1977-2977  2007.05.19

『若きウェルテルの悩み』ゲーテ(新潮文庫)

CoM0 TrB1
4003240510若きウェルテルの悩み (岩波文庫)
ゲーテ Johann Wolfgang Von Goete 竹山 道雄
岩波書店 1978-12

by G-Tools



 哀れなウェルテルの身の上についてさがせるだけのものは熱心にさがしあつめ、ここにこうしてお目にかけてみる。諸君はきっとそれを私に感謝してくれるであろう。諸君はウェルテルの精神と心根とに感嘆と愛情とを惜しまれぬであろう。ウェルテルの運命には涙をこばまれぬであろう。




***

大多数の人にとってリルケやラディケやゲーテが必要ないように、僕の書いている文章も大多数の人にとっては必要ない。これは別に自己卑下や自己憐憫というわけではなくて、ただふと思っただけで、あらためて明記する必要もないくらいの事実だ。さて、大多数の人にとって必要ではない文章を、ではなぜ自分が書いているのかというと、「自分のため」そして「受け取ってくれる誰か一人一人のため」という当たり前っちゃ当たり前の結論からです。そしてたぶん、偉そうを承知でいうと、現代にとっての古典というものもそういう性質のものなんだろうなと思う。そういう性質、というのは「受け取ってくれる誰か一人一人のため」ということです。


さて、「若きウェルテルの悩み」。

この本を若くして読破された方がいらっしゃったら、その方は「1、文学青年」「2、暇人」「3、き○がい」のどれかなんじゃないだろうか? というくらい古い古い250年前の本です。

むかしの人の恋愛話。なんて、「え、こんなことで悩んでるの?中学生じゃん」ってあきれちゃって途中下車、というのがほとんどかもしれない。現に僕も、18、9で「若きウェルテルの悩み」を読もうとしたけれど、数ページで挫折。まわりくどいし、つまんないし、主人公の妄想みたいなのがひどいし、読むに耐えられなかった。

でも。

それじゃちょっともったいない気もする。というのは29になって読破した今だから言えるのだけれど。正直、良かったし、感動したし、線なんか引いちゃいました。


たとえば主人公が「女の子にキスしようかどうしようか迷った挙句に自殺する」話だったとしても、『何に悩んだか』が問題ではなくて『どれほど悩んだか』が問題なんだと思う。そして、僕らが古典から何かを学びとれる(という御大層なことをいってしまいましたが)としたら、それは『この作者がどれほど悩んでいたか』という部分だ。「いまどきキスで悩むやつなんかいねーよ」で放棄しちゃったらちょっともったいなくて、「キス」が嫌なら、「5角関係」「アナルファック」「死姦」等々、好きなように脳内変換しちゃえば今でも読むに耐えられるんじゃないかな?(という、この段落はすべて「比喩」であって、若きウェルテルは別にキスで迷って自殺はしませんし、「アナルファック」に変換しても読めない古典は読めません)

つまり、古い本なんていくらでも「つまんない」ってケチつけられるけれど、我慢して修行僧のように読み進めていくと得られる何かが、やっぱり現代の本よりも多いと僕は思う。

思いつつ、でもやっぱり「いまどき修行僧になるやつなんていねーよ」と微笑んでいる自分もいて、古い本、そして(同列ではもちろんないけれど)このサイトというのは、この文章の最初の言葉「受け取ってくれる誰か一人一人のために存在する」というものなんだろうなぁ、と思いました。つまり「個人的なもの」ということです。さて、パンダ、パンダ♪



***

さて、以下、パンダが感動した文章から抜粋。忘れないように。ここをみたら思い出すように。

***

『若きウェルテルの悩み』ゲーテ(新潮文庫)


「どうして君たちはそういきなりある事柄について愚かだの賢明だの、善いだの悪いだのいわずにいられないんだろう。だけれどそういったところで結局どんな意味があるんだい。前もってある行為の内面的ないきさつを調べてみたうえでの話なのかい。ある行為がなぜ起こったか、なぜ起こらなければならなかったか、その原因をはっきり説明してみせることができるのかい。もし君方がそういうことをやったら、なかなかもってそうあっさりと判断は下せまいと思うんだがね」


なぜってぼくらは共感するかぎりにおいてのみある事柄を論ずる資格があるわけだから。


人間が持ってる少しばかりの知恵分別なんか、情熱が荒れ狂って人間性の限界が鼻のさきに見えてくると、屁の役にも立ちはしないんだ。


今日ぼくが小学校の生徒と一緒になって、地球は丸いなんて人まねしていったところで、それがどうだというのだろう。


弾丸はこめてあります。十二時が打っています。ではやります。


***

Book  2007.05.17

ppp

CoM0 TrB0
──詩は書いた人間のものではない。必要な人間のものだ。
1977-2977  2007.05.17

第09話「庭に降る雨」No6

CoM0 TrB0

「あのテロリストは、やっぱり極東亜細亜連合軍だったよ」


***

第09話「庭に降る雨」No6

***


「殺すとき、腕に『七星の刺青』がみえた」と、パープルさんは話しはじめた。

「彼らの理屈だと、星は眼の暗喩らしい。そして眼は、前方、後方、上下、左右、心眼、の合計7つある、と勝手に決めつけている。見すぎだよな。どんだけスケベエだって話だ。まあいい。それで、あのテロリストは『七星の刺青』をもつ暗殺集団で、正式名称は『七眼』。国連は彼らを裏で『セブン・アイズ』と呼んでる。まあ、ひねりもシャレもない安直な翻訳だ。過去に見た映画のタイトルに似てるから私的には気に入らない。ちなみに、『七眼』の連中は、その強さによって細かく階級が別れている。私が、というか国連が把握しているだけでも、一級、三級、五級、七級、九級、の全部で五階級がある。昼間、私が戦ったのは、せいぜい三級レベルだ。これが、もし、五級レベルの5人組だったら……、さすがの私でも、かなり苦戦していたはずだ。もしかしたら、今ごろ天国にのぼって遍歴を重ねているのは彼らではなくて、私のほうだったのかもしれない」

パープルさんは雨の向こうを遠い目で見た。僕はただだまっていた。

パープルさんの話に出てくる単語は、どれもこれも、どこか遠くにある異国の言葉みたいだった。僕らは、公園みたいな場所の中心部にある、屋根のついたベンチに座っていた。チェ・ミンソンさんは用をたしたあと、もう一眠りしますいやぁ飲みすぎちゃいました、といってタクシーに戻り、ここには僕とパープルさんしかいなかった。しばらくペ・ヨンジュンの物まね(きみを守りたい)をしていたパープルさんは、ちょっと大事な話をしようか、とあらたまっていった。僕は長い話になりそうだと直感で思った。

「世界の人が知らない場所で、知らないうちに、悪はどんどん育っている。悪とは、そういうものだ。ある日、突然、戦争がはじまったように感じられるかもしれないが、それは大きな誤解だ。あるいは、無知だ。戦争の兆候なんて、いたるところにあったはずだ。ハイジャックがあって、犯人は罪の無い人を殺す。そして、本人も射殺される。しばらくはトップニュース扱いだ。でも、やがて人は、忘れる。そんな事実なんて無かったみたいに。思い出すのは年末の、今年あった10大ニュースのときぐらいだろうな」

雨はさっきよりも激しく降っている。僕は、遠くにある街灯の光を、その光の中の雨を、ぼんやりと見つめながら話を聞いていた。そういえば、以前、どこかで、誰かと、こんなふうに大雨のなかで話をした記憶があったけれど、誰と話したのだろうか? と思ってみたら、それはアウフ〜だった。なつうかしい、というかすでにアウフ〜が思い出の領域に入っているということに、驚く。なぜ忘れていたのだろう。アウフ〜と別れてまだ1週間も経っていないはずだ。それなのに、とても遠くの出来事のように思ってしまう。(アウフ〜は、いまごろ、どうしてるのかな。やっぱり、もう、この世には、いないのかな?)

「たしかに粉々にする必要は無かった、のかもしれない。でも、彼らのせいで、人が既に4人も死んだ。もっと早くにやってしまえば、よかったのかもしれない。でも、私だって、すぐにパンダになれるわけじゃないんだ」
「パープルさん」
「うん?」
「パンダ、って何なんですか」

パープルさんはちょっと動揺したように、顔を小刻みに揺らした。そして僕に向き直って、微笑んでみせたが、それは明らかに苦笑いだった。顔面にはなぜか汗をしたたらせていた。「今は、まだ、細かいことは、知らなくていいと思うんですよ。いろんなことを知りすぎると、余計なことを考えてしまって、行動に隙が生じてしまう……、即座の判断がにぶってしまう、でしょ? わたしの言いたいこと、わかりますよね?」
「思春期に、本読みすぎると、家出する」
「うーん、そうとも言えるのか? まあ、言いたいことがわかってくれれば、それでいい」

パープルさんは大きな咳ばらいをひとつした。パープルさんの紺色のタキシードが、雨で半分濡れている。そういえば、なぜタキシードなのか、聞くのを忘れていた。焼肉のにおいがこびりついているけれど、いいのかな。

「え、ふんっ。サクライくんは、人間に、戻りたいのだろう? そして、壊れゆくこの世界を救ってみようかなぁとも、思っているのだろう? そのためには、他の5人のパンダを見つける必要が、ある。そういうことだ。今は、それだけを考えていればいい。あまり余計なことは考えるな。極東亜細亜連合軍は、そういう心の隙間につけこむのが得意だからね。彼らは、あらゆる洗脳術を心得ている。騙されるんじゃないぞ。人民扇動なんて、お手のものだからね。サクライくんの母国にだって、彼らの支部はいたるところにある。そういうことだ。だから帰国しても気をつけてネ☆」


第09話「庭に降る雨」  2007.05.15

テスト配信

CoM0 TrB0

「書きたいことがあるのなら誰にも遠慮する必要はない書きたいように書けばいい」

パープル・パンダ
1977-2977  2007.05.14

酔ったら聞きたくなる声

CoM0 TrB0

地元の友達から電話があって、いまみんなで飲んでいて、そいつのとなりに俺の昔の彼女もいるらしい。「いま変わるから、ちょっと待ってて」っておい、こっちの意向はおかまいなしかよもう何年たつんだっけ? 「さくらいー!あんたなにしてんのぉ早ーかえってきーやぁ!」「おお、久しぶりー。なに、酔ってんの?」「かえってこんのー?」「ははは、そのうちかえるよ」「ってぜってぇ帰ってこんのやろー!」「ははは、かえるって」「なあ、とうきょうでなにしてんのぉ?」「パンダさがしてる」「なにそれいみわからんわ、ねえさくらい、あそんでよー」「**は結婚したんやってね、おめでとう」「ねえ、うわきしよ、うわき」「ははは、それ、浮気じゃなくて不倫っていうの」「いいじゃん、けちくさい、うわきしよ、うわき、ね、ね」「ははは」

彼女の声が変わっていないのに、なんだか安心している自分がいて、その感情にちょっと驚いた。二十三、四のころと変わらない声で。

日ごろはなんとも思っていないのに、酔ったらなんだか電話をかけたくなるような相手がいて、もうずいぶんと疎遠な相手だったりするのだけれど、なぜだかふと思い出したように声が聞きたくなるのはどうしてなのだろうと長ったらしいが思った。という、さいきんはまどろっこしくて長ったらしい文章がどうやら好みらしい。さてなにを読んだ影響なのでしょうか。
1977-2977  2007.05.14

CoM0 TrB0






太陽は儚く西に沈み冥界に落ちた後、再び燦然と東から昇る。
人々の形ある営みが無残に損傷されても、その痛みが知恵につながる。
見えるものと、見えないものは、局面ごとの一つの様相にすぎず、
死と生は、絶えず呼応しながら、終わりなき変容と反復を行っている。

         風の旅人/vol.21より
1977-2977  2007.05.13

第09話「庭に降る雨」No5

CoM0 TrB0

市外に出てから降りはじめた雨は、ますます激しさをましていた。深夜、38度線へ向かうタクシーの車内で、パープルさんが運転手に話しかけている。酔っているのにはっきりとした口調だった。
「いつから降ってるの、この雨?」
「もう、今夜で、1週間になりますね」
「そんなに? おかしな雨だね」

ワイパーがきしみながらいそがしく左右に動き、雨のかたまりがふるえるようにして流れていく。外は、街灯のオレンジ色の光と、ときおりくる対向車のヘッドライトのにじんだ明かりしか見えなかった。外がどんな景色なのか、見当もつかなかった。僕の隣ではチェ・ミンソンさんが寝息もたてずに、窓におでこをくっつけて眠っている。たまに車が揺れて、そういうときチェ・ミンソンさんのおでこもバウンドしてガラス窓にゴチッとぶつかるのだけれど、彼の眠りは深いらしく、目を覚ます気配はなかった。


学生のとき一度だけ38度線へ行ったことがある。そのときは真夏の暑い昼間で、北の山々が河のむこうにくっきりと綺麗に見えた。北と南の境界線を流れている河は、多摩川や利根川よりもずっと大きくて、手入れのされていない岸辺はジャングルみたいな森でおおわれていた。向こう岸がどうなっているのか、肉眼では見えなかった。50年前に、たしかにここでは戦争があって、たくさんの兵士や戦車がこの大河を渡ったのだろうけれど、もうそれをリアルに想像することはできなかった。唯一、両岸をむすんでいる鉄橋に橋桁がなくて、支柱だけが残っている姿をみて、いまでも両国が戦争中なんだと思うことができた。北の兵士の姿は、こちらからは見えなかった。青空には日本の夏とかわらない入道雲のような真っ白い雲が浮かんでいた。

でも今は、外は真っ暗闇で激しい雨が降っていて、ここが韓国なのか日本なのかさえもよくわからなかった。


チェ・ミンソンさんと運転手を残して、僕とパープルさんはタクシーをおりた。傘は、運転手さん愛用の折り畳み傘一本しかなかったので、激太りのパープルさんと痩せたとはいえ小太りの僕とでは、お互いの肩がどうしてもはみ出してしまう。(春雨だ、濡れていこう……)とパープルさんは渋く言い放つも、かたくなに傘にしがみついている。(ちょっと放尿)とパープルさんは公園のような場所にある公衆トイレに入っていった。僕はトイレの入り口で雨を避けて待った。街灯の真下だけ、雨の筋が光って白く浮かびあがっている。その無数の白い筋が、一瞬で消え、そしてまた新しくあらわれて、左右にはらはらと動きつづけている。

その光のなかに、ぬうっと人影が見えた。その人影は「もぉれぇるぅぅー!」と叫びながらこっちに向かって走ってきて、それがびしょ濡れになった前髪をおでこにはりつけて海に漂うワカメみたいになったキム・ジョンイル、似のチェ・ミンソンさんで、僕は笑ってしまった。



第09話「庭に降る雨」  2007.05.10

知らない街の知らない道を

CoM0 TrB0


酔っぱらって別れたあと、満員電車で帰るのがなんだかいやで、歩いて帰ろうと思い、線路沿いの知らない道を進んでみた。知らない街の知らない道を深夜に歩くのは久しぶりで、もしかしたらこうやって歩くのがすごく好きなのかもしれないと思った。そういえば大学のとき、飲んだ帰りに終電がなくて歩いて家まで帰ったことが何度かあって、そのときは線路の上を、つまり、レールと枕木の上を本当に歩いて帰ったのだ。スタンドバイミーみたいに。いつも乗っている電車の線路を深夜に歩くのはすごく不思議で楽しくて、そのままずっとみんなで歩いた。酔っぱらっていたから何度か転びそうになって、そのたびに僕らは笑った。線路には街灯なんかないから真っ暗で、左右の街の明かりのなかを真っ暗な空間がすっとのびている姿が、今でもはっきりと思い出される。


昼間はあんなに暑かったのに夜になると空気もひんやりとしていて、顔にあたる風が心地よかった。線路のわきに生えている草の葉っぱが路上に大きくせり出していて、その香りなのか、なつかしい匂いがした。鼻を近づけてみたけれど、その葉っぱの匂いなのかどうかはわからなかった。歩道にある地図には高低差は描かれていないから、急に下り坂になったり上り坂になったりして、そういうのは実際に歩いてみないとわからないからとても面白く思った。いつもは一駅があっという間だから気にもとめない場所にも、当たり前だけどいろんな景色があって、いろんな人が住んでいて、そういう事実にけっこう新鮮に驚いている自分がいた。いつもは素通りで一度も下車したことない駅が、意外に最新設備のきれいな駅だったりして、この街に住むのもありかな、とちょっとだけ考えたりした。そうやっていくつかの駅を通り過ぎて、さすがに自分の住む街まで歩いて帰るのはこの靴だとしんどいと思い、時間的にもきびしかったので、一度も乗車したことのない駅で電車に乗った。知らない駅で終電に間に合うというのもなんだかおかしかった。電車は相変わらず満員だったけれど、心地よくて、今から思い出すときっと幸せを感じていたのかもしれない。


知らない街の知らない道を歩いたあとで、よく知っている街を歩いてみても、なんだか知らない街のようで変な感じがした。でも自分の部屋をみつけると、どこかでほっとするのは、やっぱり自分の街だからなんだろうなと思った。






1977-2977  2007.05.09

「フランドル」「バベル」「13/ザメッティ」

CoM0 TrB0
B000WXCLAMフランドル
サミュエル・ボワダン アドレイド・ルルー アンリ・クレテル
アルバトロス 2008-01-09

by G-Tools


「フランドル」「バベル」「13/ザメッティ」

さいきん見た映画で、自分のなかの順位も上記のとおり。

「フランドル」は普通の人からしたらたぶんマニアックな映画で、東京だと渋谷の「ユーロスペース」でしか上映してないと思うがどうだろう。ちなみにフランス映画で、06年カンヌ審査員グランプリ受賞作です。

(ちなみに円山町に移転してからの「ユーロスペース」には初めて入った。ラブホ街というイメージしかない円山町は、でもライブハウスとかクラブとか色々あって不思議な街。「フリータイム4000円」のまわりに女の子がたくさんいる風景はさすが渋谷。というか恥かしくてそんなラブホには入れません、というか久しくそんなところには行ってないので他人事)

(で、「ユーロスペース」。ここで「ゴダール」の「気狂いピエロ」みた。あとマニアックな映画を何本か。本当にマニアックなやつ、大学生の卒業記念に撮ったやつとか。移転してから会場広くなったし、おしゃれになったね)

で、「フランドル」。フランス絵画で有名らしいフランドル地方と、砂漠の戦場が、交互にでてくる。フランドル地方は僕の田舎なみに田舎で、若者はセックスかセックスか兵士に応募するぐらいしか非日常が味わえなくて、登場する男子もセックスかセックスか戦場に行く。とても納得。なぜなら、俺の田舎も10代で出来ちゃった結婚か東京(という名の戦場)に行くしか逃げ道はない。セックスとセックスの延長線上に出来ちゃった結婚があるのは当然で「フランドル」の彼女も妊娠します、というかそんな話は主軸ではないので、戻そう。

これはとても「痛い」映画。二十歳前後でこんなの見たらけっこう引きずると思う。僕も引きずられて思わずパンフレット買った。普段は買わないけど(値段に見合わないと思うから)。

「フランドル」は「バベル」のその先にある映画、だと勝手に思う。ハリウッドは嫌いじゃないしむしろスペクタクル好きの自分としては土曜洋画劇場ばかり見て育ったんだけど、さすがに何十本も見たら「銃撃戦のあと素手で闘って最後にハグしてHappyって、どうよ?」になって、そのあとは各国色々見て大きくなった。(ちなみに好きな監督はもう亡くなっちゃいましたがスタンリー・キューブリック。とタランティーノ。と北野武。と当然のように、宮崎駿)


「バベル」が「有音」だったら「フランドル」は「無音」。というか文字通り音楽がいっさい無かった。それが、よかった。「さぁこっから盛り上がるよ感動してね〜」っていうのがなくて。うそ臭くなくて。余分なものがなくて。リアルで。久しぶりに静かな感動を味わいました。(さいきん静かな感動を欲してるみたいです)

映画のラストは奇しくも似てて、「最後はやっぱり**を**してくれないとヤダ」って身近な人に言ったら「そういう時代は終わったの」と諭されましたがどうなんでしょう、終わったのかな?(またくると思うけど。世紀末に。って遠すぎ〜)



ここまでつらつら書いてて、まだ核心にたどりつけない。

「俺はなんでこの映画に、心を揺り動かされたのか?」

なんでだろう? 青姦しまくるから? 田舎の風景がきれいだから? 戦場好きにはたまらない戦場だから? 冬から夏への移りかわりが見事? お父さんが硬派で笑わない? やっぱりフランス人はプジョーに乗ってなんぼ? うーん。

「静かな空気感」

としかいえない。いまのとこ。センスのかけらもないけど。でもいい。そのうちなんか思ったらまた書く。20年後に(ああ「フランドル」の意味ってこうだったのかぁ)とひらめくかもしれんし。そういう長期スパンでいっしょに歩いていく、映画。






Film  2007.05.08

world's end girlfriend

CoM0 TrB0

音楽の購入方法はむかしもいまもほぼ試聴にたよっているのですが、渋谷のHMVであーでもないこーでもないと1階から3階まで上がっていったらジャケットにあるまじき緻密な絵が掲示してあって、(な……!)というまずその世界観に大きく惹かれ、試聴してみるとこれまた(俺がいま求めていた『音』はこれなのです!)と胸を打った音楽、それが「world's end girlfriend」の「Hurtbreak Wonderland」です。



どんな音楽なの?

「ロマンティック・スペクタクル・ムービー、ですね、これは。素晴らしい映画です!」

いや、あの、音楽の話なんですけど。

「聴けばわかります。これはロマンティック・スペクタクル・ムービーなんです!」

はいえーっと、帯をみてみると『永遠に続く夕暮れを歌うような〜(略)〜あまりにも美しく、儚い、虚構の世界の中の虚構。』とありますね。

「world's end girlfriendっていう韻のふみかたも最高ですね。あと曲名も『シャンデリアの下の馬の幽霊』とか『8重人格と11羽のカラス』とか『コルチャックと亡命』とか、もう素晴らしきかなその世界観。音楽も詩的センスもともに☆がいくつあっても足りませんね。いやあでも、こんな音楽もあるんだなあと思いました。というわけで、明日あたりタワレコで他のアルバムも探してみます。久しぶりに静かに興奮しています。青い炎はときには赤よりも熱いのです」


というわけで、しばらくはこれを聴きながらここを更新していくわけですが、はっきりいってこの音楽と僕のサイトは「world」の文字ぐらいしか共通点がみいだせないのですが、ええ、走り出した電車はすぐには止まらないのでこのままいきます! 

              [World]-[Wild]-[Love]☆




1977-2977  2007.05.07

『仏蘭西からの国際電話をおつなぎします』

CoM0 TrB0

「はい、もしもし」
「サバ?」
「サバ。だれですか?」
「サルコジです。白パンダくん?」
「ウィ。サルコジさん、選挙おめでとうございます」
「どもー。しっかし参ったよ、ニートが暴れちゃってさ」
「サルコジさん、迷える子羊に冷たいからなぁ」
「いやいや、内心は気にしてんだよ? これでも。
 でもしゃーないじゃん。
 船頭が迷ってちゃ―、船は座礁すんねん。
 おれは行くよ、ばしばし行くよ。小泉さんみたく。
 仏蘭西、開国。って小泉さん元気?」
「うーん、たぶん元気にしてると思う」
「白パンダくん、靖国で小泉さん見たってほんと?」
「あー、見ましたね。NHKで速報やってたから、
 すぐに飛んでったら、まにあったのです01年の夏」
「うらやましい。今度ヨコハマ行ったらサインもらおっと。
 ちなみに私、
 ドラゴンボールで、ピッコロさんが好きなんだけど、
 白パンダくんは、誰好き?」
「ヤジロベエかな」
「むっちゃくちゃマニアックですね、それ。
 あ、いま呼ばれたから行くね。
 私の弟に、よろしくいっといてね」
「あ、はい」
「彼、いまどこにいるの?」
「ベトナムに行ってるみたいなんですけど、
 連絡取れないんですよ」
「そう。
 彼、今でもたまに、紫色になったりしてるの?」
「ウィ。たまに、ですけど」
「そう。近々、三人でお茶しましょう。チャオ!」
「チャオ! またねサルコジさん」





1977-2977  2007.05.07

五月五日チルドレンズデイ、太陽が消えてしまったあとでも

CoM0 TrB0



革命宣言を終えて、
五階建ての工場の屋上から下りてくる途中で、
頭髪の白くなりかけた男に声をかけられた。

男は外階段の三階の踊り場で、
じっと身動きもせずに
僕が来るのを待っていたらしい。
SPが念のため僕の前に立った。

男は、SPの肩越しに、僕に話しかけたきた。
「桜井、パンダ、さん。失礼ですが、あなたは」
男は僕の顔をじっと見ている。
「あなたは、白パンダさん、ですよね?」

「そうだけど、なにか?」
三人のSPが、一瞬、ぴくっと僕の言葉に反応する。
でも男は、微動だにせず、表情も変えずに話をつづけた。
「いえ、ただ、直接お会いできて、とても光栄です。
 これからのご活躍を、心から、お祈りしております」

男はそういって軽く頭を下げたあと、
ゆっくりと後ろを向いた、直後、

薄く折り重なっている雲のあいだをつらぬいて、
太陽の輝きがあふれだし、男の全身をつつみこんだ。
男の顔と太陽の光が同じ高さにあって、
まぶしさのあまり、僕は目を閉じた。

一瞬のあと、
薄目をあけて男の姿を確認しようとしたが、
すでにどこにも見つけることはできなかった。

(追いますか?)
というSPの業務的な声を無視して、僕は黙ったまま、
空の向こうに消えていく太陽をじっと見ていた。



太陽が消えてしまったあとでも、
空には淡い光が残っていて、それは秋に金色の稲穂が
地平線の向こうまで大地をうめつくして風にゆられている平原を
僕に思い起こさせた。

粒子の淡い光は、
この地上にあるすべての音を
あらゆる音を奪い去ってしまって、
僕のからだのひとつひとつの意味を、
境界を、曖昧にしていき、
やがて僕自身も光の一部になってしまったような気がした。


 







1977-2977  2007.05.06

五月五日チルドレンズデイ、旧フランス領インドシナより

CoM0 TrB0

青天の霹靂。
日本国にて革命が、勃発。
未だ、白パンダとは連絡がとれず。

事態は恐ろしい展開を迎えてしまった。

極東亜細亜連合軍による暫定政権が
樹立してしまったらしい。
軍部独裁による明らかなクーデターと思われるが、
言論統制によって真実は一切、伝わってこない。

白パンダの安否が、心配だ。

どこかでのほほんとエビマヨでも食べててくれれば
いいのだが。

二週間後には傀儡政権による新憲法が
施行されるらしい。
これで五月三日憲法記念日が、ずれる。
黄金週間の足並みが乱れてしまう。
一大事だ。

桜井パンダ新政権がどこへ向かっているのか、
手元に情報は何もない。

ただ一つだけ言えること。
それは、
この世界が大きく変わってしまって
もう後戻りはできないということだ。


              パープル・パンダ





1977-2977  2007.05.05

五月五日チルドレンズデイ、信州に住む小学三年生の日記より

CoM0 TrB0

五月五日晴れ

五月晴れや五月雨は
五月につかってもいいけど、
小春日和は春にはつかえないと、
大型連休に入る前に担任の西村先生が
おっしゃいました。
あやふやだったので
いま辞書で確認してみたら
あってました。

さて、
今日は子供の日。

つまり、僕たちの日ということですね。
ふと、なぜ子供の日が生まれたのかと一瞬考えて、
もしかしたら、

「むかしの子供達は奴隷のようにこきつかわれてて
 いやむしろ、文字通り奴隷だったので
 せめて一日ぐらいは休ませてあげようと、
 全世界で
 五月五日は子供の日」

になったのではないかと思ったら、
なんだか涙がでてきました。

いけませんね。

メランコリーでいると議会によって追放させられると
お母さんが洗濯しながら言っていました。

わたしの愛する白ぱんださんが追放になったと言って
笑いながら
Yシャツをたらいでゴシゴシ洗っていました。

「泣くと追放だからわたしは悲しいときには笑うの」

と言いながら。


だから五月五日の子供の日、
僕も笑うことにしました。



1977-2977  2007.05.05

五月五日チルドレンズデイ、AP通信による「白パンダ」極秘会見

CoM0 TrB0


人がミクロネシア旅行中になにさらすねん!
ぼけがぁ!
議会は無能のあつまりか!
全員帝大でてんねんろーが!

はぁはぁ

旅行中に失脚て
おれはゴルビーか!
ゴルビーのパイプラインか!
しっかしゴルビーのパイプラインて
西側諸国に迎合するにもほどがあるわ!
商標登録とかまじめに申請してて
ちゃっかり資本主義まっしぐらやないか!

そういえば死んだね、死んだ、エリツィン。
ウオッカ飲みすぎで死んだよ愛するエリツィンが。
気さくないいオヤジやと思ってたのに、
やっぱり歳とウオッカには勝てんかったか……
心よりご冥福をお祈り申しあげます。
プチンの神経質そうなヒトラみたいな眼差しよりも
あなたのメタボリックな真っ赤な顔が僕は
大好きでした。

って
え?TV?これ、全国放送?
もう、はやくいってよ!

みなさん!

これは、
完全なる
「クーデター」です!


みなさん!


桜井パンダ? そんなバッタもんみたいな名前の人物、
ちょっと「あんちょく」すぎるやろ?

私が子供のころ、
ロッテのビックリマン・シールが欲しくて
近所の駄菓子屋でシールだけ売ってたから
なけなしの100円をはたこうかどしようか
逡巡をかさね
やっぱり50円のアイス2本買ったほうが
炎天下の路地裏では費用対効果が高いんちゃうん?
と考えながらも
でもやっぱりビックリマン・シールが10枚もついてくる
というアナウンス&コーマシャライジングには勝てず
チャリン
喜びいさんで家に帰るとちゅうの石碑の下で
我慢できずに欲望のおもむくままに袋を
引き裂いて「おおキラキラや!」とか「お守りや!」とか
細かい神様の固有名詞なんぞもう覚えておりませんが
そういう固有名詞をおそらく連呼、絶叫しながら
シールを順々に賞味し
そしておもむろに裏を見たら
社名がお口の恋人「ロッテ」じゃなくて


『ロッチ』だった。


というくらい「あんちょく」やろ!あほか!長いわ、たとえが!

え、なに?まいてまいて?

なにを、しゃらくさいわ、ぼけ!まいて、でまけたら
牛歩戦術は成り立たんのじゃ野党万歳!

そもそも、桜井パンダってどんな奴じゃ、顔もしらんぞ!

なに?国会中継やってる?
桜井パンダの、革命宣言が、いま生放送中?
チャンネルは、そのまま?はいはい、

どれどれ、
どんな顔しとんのじゃ

・・・

こ、こ、こいつは…!

こ、こ、この演説しとるやつは……!


白パンダ俺自身や**********
******************
******************



(ミクロネシア・マーシャル諸島・マジュロ島からの
 AP通信による「白ぱんだ」会見放送は
 ここで、何者かによって中断させられる)




1977-2977  2007.05.05

五月五日チルドレンズデイ、桜井パンダ革命宣言

CoM0 TrB0

おおっきな〜こいのぉぼりぃ〜
そらにぃ〜およぐぅ〜
にてたべたらぁ〜うまいんかなぁ〜あ〜〜〜


独裁者シロパンダは、
「破廉恥、怠惰、激情、メランコリー、小太り」の大罪により
当議会の解任決議に対する賛成多数をもって、
「国外追放」となりました。

即日、
私こと「桜井パンダ」が新首相に選ばれましたことを
ここに宣言いたします。


なお、シロパンダの生前の意志は尊重し、
彼が書きため
「C:\Panda\World-Wild-Love」に保存していた文章については、
検閲後、
随時更新していく予定です。

全国各地のシロパンダ・シンパの方々も
これで安心ですね。


なお、「桜井パンダ」は、
「元スカウトマン桜井」とも「白ぱんだ」とも
別人であることを
お忘れなく。





1977-2977  2007.05.05

五月一日メーデー、革命勃発

CoM0 TrB0


当ブログ[World]-[Wild]-[Love]は「桜井パンダ」によって

掌握されました。


これ以降、
[World]-[Wild]-[Love]の更新および削除は
「桜井パンダ」の手によって行われます。


くりかえします。

当ブログ[World]-[Wild]-[Love]は「桜井パンダ」によって



1977-2977  2007.05.05