「藤原ノリカさんご結婚おめでとうございます!記念・号外!(後編)」

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僕は思う。卑弥呼は存在した、と。完璧な美と、オーラと、勢いをもった人の前では、もう、ひれ伏すしかないのだ。ふつうの男は。

最初に見たのは、「後頭部」だった(なんかこの「部位」を強調する書き方、変態っぽくて嫌なんですけど、でもあの時の感動をリアルに説明したいのでしばし待ってね)。つまり、「うなじ」と「アップにした髪の毛」だけが僕の視界に入っていた。要するに、ソファーに座っていた彼女を後ろから見た、というわけです。

もちろん、そんな「後頭部」だけで「ノリカさんや!」と分かるはずがありません。分かるはずがありません、が、その「後頭部」から「ただならぬオーラ」が漂っているんです。普通じゃ、ないんです。普通の女性の「後頭部」じゃないんです。宝石みたいなんです、キラキラと、そこだけキラキラと輝いているんです「後頭部」が!!

ぼくは、動けなくなりました。

誰かがエレベータの方から「後頭部」を呼びました。「準備できました〜」とかそのような事だったと思います。もしかしたら、「後頭部」の隣にも誰か座っていらっしゃって、その方が呼んだのかもしれません。もう覚えていませんが。

そして。
「後頭部」が立ち上がりました。振り向きます。振り向いて、目の前を通り過ぎて行きます。そして、目の前にあるエレベーターに乗り込みました。ドアが、閉まりました。



未知との遭遇。

最接近、1m。一歩踏み出したらぶつかっちゃう、距離。



僕は、動けなかった。ほんっとうに。いや、ほんっとうだから、これ。ぜんぜん大げさじゃないの。ほんとうに動けなくて、びっくりして、体が沸騰して、三日三晩知恵熱がでるんじゃないかってぐらい、頭のなかで誰かが叫んでるんです。「フジワラノリカ・サン・ガ・メノマエ・ニ・イル」と。「綺麗」という単語をペタのペタ乗のペタ乗のペタ乗ぐらい並べてもまだ足りないくらいの圧倒的な「美」。

顔はリンゴぐらい小さいのに、胸がスイカみたいで、腰は無く、足がネギみたいでした。

(↑じぶんで書きながらなんかすごい笑ってしまったんですけど、病気かしら)



  『藤原ノリカさん、ご結婚、おめでとうございます!』



その後、様々な芸能関係の方にお会いする機会がありましたが、あの時の衝撃を超えることは、もう二度と、ありませんでした。
おそらく、撮影本番前ということで、ノリカさんも気合十分だったから、というのも僕のあの大きな衝撃に対する理由の一つではあるのかもしれません。


最後に。
僕がキャバクラのスカウトをやり始めた頃の、先輩との会話で、閉めます。
 
「サクライ、アイドルのスカウトマンって、どうやって、女の子探してるか、知ってる?」
「えーっと、こう片っ端から、女の子、見ていくとか、ですか? 道の端から端まで」
「ちげーよ」
「?」
「見てなくて、いいんだよ」
「はい?」
「見なくたって、自然とその子のまわりだけ、空気が違うから。こうぼんやりと景色を見てるだけで、その子のまわりだけ、浮いてくるから。そういうもんだ、アイドルってのは」


(了)
藤原ノリカさんご結婚おめでとうございます!記念・号外!  2007.02.18

「藤原ノリカさんご結婚おめでとうございます!記念・号外!(中編)」

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僕はADの仕事の中でも最も地味な、まるで公務員のような部署に配属された。金髪の、公務員。

主な作業は事務所に残ってPC操作と手紙の整理と電話番。たまに来るのは掃除のおばちゃん。(あれ?)と僕は思った。(ADって、なんかこうスタジオで、ボード紙に「まいて まいて」とか「そこで いっせいに ずっこける」とかマーカーで書くんじゃなかったっけ? ねぇ掃除のおばちゃん?)「さくらいくんは、まだ若いんだから、もっともっと苦労しなきゃダメよ、ね」僕はおばちゃんの親身の説得により、改心し、毎日毎日おばちゃんの掃除を手伝った。一生懸命に。おばちゃんがコーヒーを飲んでいる隣でせっせと掃除!って、あれ? なんか良いように利用されてない? とそのとき、「トゥルルルルン、トゥルルルルン」と電話が鳴った。「お疲れ様です、セガワ、ですけれども。あれ、桜井しかいないの? しょうがねーな、昨日書いてたフリップあんでしょ? あれ、至急、届けて欲しいんだけど。会議で必要だから」ラッジャーーーーッ!!!

僕は地下鉄を乗り継ぎ、**TVに無事到着。玄関にある、駅のスイカ改札みたいなとこに「入構許可証」をかざし、エレベーターに乗り、5階の会議室へと向かった。途中、ニュース番組で見たことのある方々を何人か見かけたが、誰が誰だか分からないのでぺこりとお辞儀をしてそのまま会議室、の前にセガワさんが煙草ふかしながら待っていてくれた。「おー、ありがとう。じゃあ、もう帰っていいよ」あれ?そんだけ?ボードは?まいて、まいて、は? 僕はとぼとぼと帰りは階段をつかって、一階へと下りていった。

勝利の女神? そんなものはもうどでもよくて、僕は今、無性にのどが渇いているのだ!(逆ギレ)

それで、3階にある「タレントクローク」のそばのロビーで、アクエリアスを買って、飲んでいた。

20世紀末、21世紀初頭の、「ノリカ・フジワラ」ブームを皆さんはまだ覚えているでしょうか? K1が盛りに盛り上がっていた、あの頃。ピーターアーツがまだ脇腹に「うきわ」を装着する前の全盛期。彼女はリング脇の胡蝶蘭としてめちゃめちゃ眩しく輝いておりました。どのチャンネルを回しても「ノリカ・フジワラ」、どのCMを見ても「ノリカ・フジワラ」、ワタナベの彼女(コピー機に顔そっくり)すらも「ノリカ・フジワラ・ヘアー」で、「あたし、のりか、うふっ」と微笑んでいたおぞましい時代。エビちゃん100人分の人気、と言えば現代っ子にも分かるかなぁ。要するに「TOP・OF・THE・芸能人」だったわけです、ノリカさんは。そんなノリカさんを、僕は、1mの距離で見てしまう。そう、そこ、すぐそこ、で。

(後編へ)
藤原ノリカさんご結婚おめでとうございます!記念・号外!  2007.02.18

「藤原ノリカさんご結婚おめでとうございます!記念・号外!(前編)」

CoM0 TrB0
こんな夢を見た。

藤原ノリカさんが実家の居間に来てみんなに結婚報告をしていた。
妹は有頂天になりトイレと居間を行き来しており、それを見ていたノリカさんも楽しそうに笑って「あたしもトイレに行って良いかしら?」と言い、なぜか僕も「トイレはこっちです」とデレデレしながらついていった(←変態発揮、だけど神かけて誓いますがノリカさんに変なことは一切しておりません!)。
夢の中のノリカさんはショートヘアーだった。

***

ノリカさんはショートヘアーだった。
綺麗、という陳腐な単語の活動限界を僕はそのとき生まれて初めて痛感した。
実際はショートヘアーではなくて、その長い髪をアップにしていただけだと記憶する。

TV局には「タレントクローク」という場所がある。

要するに「控え室」のことで、タレントの名前の書かれた紙が入り口に貼られている、あの小部屋の集合体のことだ。そのタレントクロークの中心にロビーがあり、そのロビーを通り抜けなければ目的の小部屋に行けないような構造になっている。部外者排除、というわけだ。

ロビーには病院の待合室のように、大きなTVがあり、ソファーシートがあり、灰皿の乗ったガラステーブルがあり、受付には受付嬢がいて不審者が入ってこないかどうか目を光らせながら座っている。受付嬢の後ろには、どの控え室にどのタレントさんが詰めているのか一目で分かるように、映画館の演目一覧のようなものが貼り付けてある。

当時、二十代前半の若造だった僕は、金髪で恩知らずで傍若無人を常とする(今も大差ないが)性根の持主で、ミーハーにも「芸能人」に憧れていた(なる、方ではなくて、みる、方です)。それまでに会ったことのある芸能人といえば「おおきぼんど」さんと名前の知らない「野球選手」の二人だけだった。僕は彼ら「芸能人」に初めて会った時、確かに興奮を覚えた。でも、何か、が足りなかった。決定的な、何か、が。それで僕は大きな野望を抱く。田舎出身の「おのぼりさん」の身としてはもっと多数の芸能人を間近で肉眼で確認してみたい、と。それで僕は関東キー局を全て受験するが案の定、全落選。しかしその後、なんとか小さな制作会社に滑り込むことに成功し、僕は晴れて、TV局にいつでも出入り可能な「AD」となった。首から「入構許可証」さえぶら下げていれば局の中はいつでもどこでもどんなときでもフリーパス。芸能人の酒池肉林。勝利!

しかし、勝利の女神は、微笑もうとすると口を結んでしまうのが世の常である。


(中編へつづく)
藤原ノリカさんご結婚おめでとうございます!記念・号外!  2007.02.17

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