CoM0 TrB0
肉体に甘えまくって嘔吐でごまかす。雪を握って手の中で潰した。
核が2日前に光った大地。直撃を免れた人間と僅かな兵器が殺人を繰り返す。これを見て人は何を楽しむのか? 架空の星の架空の戦争。架空の死体。架空の感情。
目を開ける。茶色く汚れた白い塊がすぐそこで溶ける。俺の吐く息で。
楽しいって何だ?
ダウみたいにゲイの少年とセックスすることか? マウラウのように物語に入り浸って夢遊病者のように破滅することか? ルカさんのように人を殺しまくることか?
「ジョウ」
とルカさんが俺を呼ぶ。振り返ろうとして俺は止める。ルカさんは既に死んでいるんだ。
「ジョウ。大切なことを、言い忘れていた」
ルカさんは続ける。俺は冷たさの中でじっと動かない。
「おまえは死ねない」
遠くで悲鳴がする。首を切り落とす音。首の無い人間が崩れ落ちる音。
「死なない、んじゃない。死ねない、んだ」
[WWIII]
2009.10.31
CoM0 TrB0
次々に人が死に、俺が最後の一人になることを想像した。でも恐怖は感じなかった。
そもそもが一人だってのもあるし、死ぬ時はどのみち一人だってのもあるし、今が死んでるも同然ってのもあった。
誰もが、いつか、この世界から消えてなくなる。早いか遅いかの違いで。歴史の中でなら誤差でしかない。でも、だから何だろう。縮尺を変えたって本当の意味は分からない。極端な比喩は心の気休めにしかならない。
今日、死んでも俺は一人だし、明日、死ぬときも俺は一人だ。
「ルウ」
と声に出さずに呼ぶ。
「ルウ」
記憶から消したいと何度も願った単語。でも願えば願うほど、それは俺の一部になっていった。死ぬ時も彼女を抱えて死ぬだろう。ルウは俺の一部であり、俺自身だった。
[WWIII]
2009.10.13
CoM0 TrB0
雪の上に点々と続く赤い色は誰かの血液だ。俺はその上で仰向けになる。頭と体が雪に包まれて安心する。雲の切れ間からは太陽は見えず、重く暗い鈍色の空から冷たい塊が垂れてくる。俺はそれを頬で受ける。
動脈から滴る液体は湯気を与えながら落下する。触れた雪は反射的に沈み、深くゆっくりと溶けていく。
赤は恐怖の色か?
歩き去る人々の生きた証がこの世界を作り、やがてそれが死を迎えるのだとしたら、俺の手で早めることに神様は怒りを露にするだろうか? 俺の首を絞めるだろうか?
あるいは神様も待ち望んでいるのかもしれない、この世界の終わりを、この世界を終わりに導いてくれる人間を。それか――これは考えたくもないけれど、恐らくこれが正解なのだ――神様はもうこの世界に興味など何も無いのだ。
遠くで射殺された男の首が飛ぶ。人はバラせばただの人形で。俺たちはそれが俺達で無かったことに喜びを感じる。首は液体をまき散らしながら茂みの中に消える。生への執着は罪悪だと言ったところで、俺たちは死の恐怖から逃れるためなら、最大限の罪を犯すんだ。
[WWIII]
2009.09.22
CoM0 TrB0
「おやおや、どうしたんだい白パンダくん、こんな夜中に」
「せんせい、いいですか。こんなくらいブログ、もう、イヤになりました」
「あらあら」
「うーーうーー」
「まあまあ、ほうじ茶のホットでも飲んで」
「ふーーふーー」
「どの辺が暗いと思うんだい?」
「ひとが、せんそうして、いっぱいしぬところです」
「なるほど」
「うーーうーー」
「あ、サイレンだ!」
「ウ〜〜〜〜ウゥ〜〜〜〜〜〜キキーッ」
「(ぶつかった?)さて、戦争して人が死ぬ。これは確かに暗い、悲しい話だ。
ちなみに。どういうストーリーにしようと思ったんだい?」
「考えてません」
「夢オチ」
「未完」
「実はハルカちゃんの絵日記だった」
「実はルウさんの絵日記だった」
1977-6997
2009.09.02
CoM0 TrB0
「死ぬのがなぜ怖いかといえばそれは本当に一人ぼっちになることだと思うから」
と彼女が言いそれに対して俺は、
「死んでも一人ぼっちになるかどうかは誰にもわからない、死んだあとどこに行くかも誰にもわからない、あのブッタだって『死んだあとの話は、死んだことがないので、わからない』と答えてる。つまり俺が言いたいのは、一人ぼっちになるかもしれないし、ならないかもしれないし、それは死んでみないとわからないし、死んでみないとわからないことを生きている間に考えてもしょうがない、ということだ」
と告げたがこれは詭弁で本当は俺だって怖いから他人の言葉を借りて考えないようにしているだけだ。
死んでもいいが死ぬなら思考できぬ間に死にたい。(そうじゃなかったとしたら、そうじゃなくてもいいのだけれど)
[WWIII]
2009.08.03